世界の水産養殖産業を牽引してきた近畿大学は「養殖魚の価値向上」を目的に、"養殖魚専門料理店"の運営事業を展開している。2013年4月、グランフロント大阪への1号店出店に続き、同年12月4日には東京・銀座に2号店を出店。食の安心・安全やクロマグロの漁獲規制など、社会的な関心と店舗コンセプトが合致し、両店とも行列の絶えない人気店となっている。

2号店を銀座に出店したのは、情報感度と発信力の高い顧客層にアプローチし、養殖魚の評判形成につなげるため。席数は最大57席。半個室と個室を設け、会食やビジネスパーソンの接待利用なども見込む。
1948年開設の近畿大学水産研究所は、現在までに18魚種で世界初の種苗生産*に成功し、研究分野だけでなくBtoBの収益事業としても成果を上げてきた。
*栽培漁業において稚魚を育てること。
13年から開始した飲食店事業の狙いについて、同校 ベンチャービジネス推進事業本部の石原克人氏は「養殖魚は天然魚に比べて低く見られがちだが、実は安定的な管理下で育てているため安全性が高く、味もおいしい。この事実を多くの人に知ってもらうため、"養殖魚専門料理店"というコンセプトを打ち出し、実際に食べてもらうことで養殖魚の価値向上を目指しました。また、消費者の声を直接聞く場を持つことで、生産技術の改善につなげる狙いもあります」と話す。
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