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社会学の視点

千年前の『源氏物語』から続く、日本人の「エモい」と「あはれ」

遠藤 薫氏(学習院大学)

1000年以上の時を経て日本人の心性に根付く感情

2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』は、『源氏物語』の作者・紫式部の一生を描くという。式部を演じるのは吉高由里子さん。楽しみである。『源氏物語』は、日本だけでなく世界的にも高い評価を得ている。とはいえ、言葉が平安語だというだけでなく主語がない、敬語が難しいなど高校の授業で悩まされた人も多いのでは?でもそんな敷居の高さを乗り越えれば、『源氏物語』はかなり面白い。そもそもこれは全編、主人公の超絶イケメン・モテ男「光くん(光源氏)」と彼を取り巻く女子たち、男子たちの恋バナである。初々しい恋、切ない恋、優しい恋、大人の恋、危ない恋……まるで恋の宝石箱。少女コミックの世界である。光を推してもいいし、登場人物に成り代わって恋の沼にはまってもいい。平安時代、当時の貴族・女房たちが奪い合って読んだのも無理はない。

例えば、古典の教科書にも載っている「桐壺」の巻では、帝がある女性(桐壺更衣)と恋に落ち、光くんが生まれる。でも桐壺更衣は周囲からの凄まじい嫉妬を浴びて、病気になり3歳の息子を残して死んでしまう。光くんは...

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