生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。
エシカル・スピリッツ 会社概要 | |
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設立年 | 2020年 |
従業員数 | 22名 |
事業概要 | 酒類(スピリッツ)の企画・製造及び販売 |

エシカル・スピリッツ
COO
小野 力氏
未活用素材の潜在可能性に着目酒粕をリユースしたクラフトジン
「循環経済を可能にする蒸留プラットフォーム」のビジョンを掲げるエシカル・スピリッツは、新時代のクラフトジンを生産する蒸留ベンチャーとして2020年に設立。同年3月には、第一弾のエシカル・ジン、日本酒造りの過程で廃棄されるはずだった酒粕を蒸留した「LAST」を発売。
注目されるのは生産方法のみならず、ウイスキー業界で権威のある品評会WWAのジン部門「World GinAwards 2021」での国別の最高賞を、英国「IWSC2021」では最高賞である GOLD OUTSTANDINGを受賞するなど、品質にも定評があることだ。
通常、日本酒造りの工程において使用される酒米のうち、30~35%が「酒粕」となる。年間で生産される酒米は、約9.6万トンにものぼるといい、酒造りの過程で産まれる酒粕は約2万トン相当になるという。
これまで酒粕は粕漬けや粕汁など食品や飼料に利用されてきたが、需要低迷と共に、産業廃棄物として処理される酒粕も多いのが現状だ。「同じお酒へのリユースでも粕取り焼酎の市場は成熟していますが、ジンはいままさにブームが来ているお酒です。これからの市場可能性があると考えました」と話すのは、エシカル・スピリッツ共同創業者でCOOの小野力氏だ。
また、ジンはジュニパーベリーという球果を使用すれば、その他は様々なハーブやスパイスを香りづけに使ってつくることができる。そのため同社の未活用素材のリユースも酒粕だけにとどまらず、コーヒーの出し殻やカカオハスク、廃棄寸前だったビールなど多岐にわたる
「私たちは『Starring the hiddengem(隠れた才能をステージへ)』を理念に、これまで50以上のエシカルジンを開発しました」(小野氏)。代表ブランド「LAST」を中心に20~30代の女性に支持され、現在はスーパーマーケットや酒店...