デジタルの世界で知名度を確立させたブランドがさらなる顧客との接点拡大を目指したり、従来は人的営業中心だった企業が、テレビCMの活用に踏み切る機会があります。なぜテレビCMを選んだのか。初めて出稿する際に、どのような戦略を持って臨んだのか。担当者に話を聞きます。
10代の利用者だけで3割超使うほど「推し」を応援できるカード
「ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る」をミッションに掲げ、多用な金融サービスを展開するナッジ。その社名を冠したクレジットカード「Nudge(ナッジ)」は、利用するだけで好きなスポーツチームやアーティストの応援につながる、次世代型のクレジットカードだ。カード申し込み時に、応援したい「クラブ」を選択する仕組みになっている。クラブの数は100以上で、また、カードデザインを選べるクラブもあり、四半期に一回新デザインを発表している。幅広いラインナップから好きなデザインを選べるのも特徴のひとつだ。
2021年9月のローンチ後、「“好き”を応援できる」をコンセプトに、様々なスポーツ選手やタレント、インフルエンサーなどとコラボし、ユーザーを獲得してきた。
「Nudge」がメインターゲットに据えるのはZ世代。しかし、国内では10代~20代前半層は他の世代に比べてクレジットカードの利用率が著しく低くなっている。その理由として使い過ぎや不正利用に対する不安を抱えている人が多いのだという。「Nudge」では利用状況もアプリでリアルタイム管理ができるため、不正利用や使い過ぎを防止することができ、デジタルネイティブにとって使いやすい仕様となっている。同社は2022年4月に学生への訴求強化を目的とした公式クラブ「学生部」を立ち上げ、オウンドメディアやユーザーとのコミュニケーションを通じて情報発信を行ってきた。
学生部の責任者である増渕舜一氏は「学生部の立ち上げにより、現在のユーザー数は10代~20代が半数以上を占めるに至っており、10代の利用者だけでも3割を超えています」と語る。
同社のこれまでのマーケティング施策はアスリートやスポーツチーム、インフルエンサーとのコラボなどSNSを中心に展開。しかし、さらなる認知拡大を目的に、2023年7月よりTVerでのWebCMの出稿を開始した。
Z世代を対象にした施策でSNSなどではなく、TVerを活用した理由について増渕氏は「学生部の会員から、『SNS...