商品が顧客の手元に届くまでのプロセスでは、流通に対する働きかけを行う営業部門や小売バイヤーなど、多様な部門が関わる。エンドユーザーに向き合った施策に向けた現状のメーカー、小売の課題について、王子ネピアでブランド開発に携わり、現在は独立し企業のマーケティングや商品開発サポートを行う今 敏之氏に聞いた。
コモディティ化が進む領域でどのように手に取ってもらうか
日雑品や食料品は、商品そのものが「広告」となり得ます。王子ネピアに所属していた当時にブランド開発に携わった『鼻セレブ』はその好例で、商品が持つ価値を伝えるパッケージとネーミングで、同社のフラッグシップブランドに成長しました。まさに、商品自体が「広告」として機能したのだと思います。
また王子ネピア時代には、毎年一定期間の対象商品の売上の一部をユニセフに寄付し、東ティモールの衛生環境改善に取り組むという「千のトイレプロジェクト」を展開しました。2008年に開始し、東ティモール政府の施策として2024年までに全土にトイレを配置するというめどが立ち、2021年に活動終了しました。
「鼻セレブ」も「千のトイレプロジェクト」も、消費者にとって「広告」的な役割を果たしたのではないかと考えます。ここで言う役割とは、商品を手に取って...
あと59%