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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

江崎グリコ「ビスコ」90周年 国民的『栄養菓子』として健康への思いを発信

江崎グリコ ビスコ

(左)1933(右)2023

江崎グリコのビスケット菓子「ビスコ」は1933年に登場。当時は高級菓子であったビスケットにクリームを挟んだ一般家庭向けのお菓子として生まれて以降、多くの人に愛され続け、2023年に90周年を迎えた。

「ビスコ」は同社の「グリコ」に次ぐ第2の栄養菓子として1931年に開発をスタート。クリームを挟みながらも、販売時さらに喫食時まで形状を維持するのは、当時の技術では容易ではなかったが、試行錯誤の末に形状維持に成功。さらに、発売時に栄養効果が注目されていた「酵母」を加えることで、競合商品との差別化を図った。クリームはその後、1979年のリニューアル時に配合を変更。乳酸菌やカルシウム、ビタミンB1・B2・Dを加え、食事だけでなくお菓子からも栄養を補助的に摂取できる点を訴求した。

「まだまだ栄養が足りていないとされていた1930年代に、国民の健康向上に貢献していきたいという思いを形にしたのが、『グリコ』や『ビスコ』です。その後、経済が発展していく中で、『不足している』と言われる栄養素も変化していきました。子どもの虫歯問題が社会でも取り上げられ、お子さんが甘いお菓子を食べることを懸念するといった傾向も出てきたため、乳酸菌・カルシウム・ビタミンを強化。このような改良を続けてきたことで長く支持いただけているのではないかと思います」と話すのは、江崎グリコ グローバルブランド事業部 BISCOマーケティンググループの吉田善一氏。

「ビスコ」は新聞広告、百貨店でのマネキン宣伝販売や、学校バザーなどでの試供品配布・販売、医師会への見本配布などの販促活動によって認知を拡大し、順調に売上を伸ばしていった。

子どもの健康を守っていきたいという気持ちに寄り添い続けて90年。周年ではこれまでの感謝の思いを発信していきたいと吉田氏は話す。

視点01 商品・ラインアップ
健康志向に加え、フレーバーを選ぶ楽しみも

「グリコ」に次ぐ第2の栄養菓子として開発された「ビスコ」は、“より人々の健康に寄与したい”との思いから、商品改良を続けてきた。1970年にはパパイン(パパイアの実から抽出したたんぱく分解酵素)を配合したことで、消化吸収が一段と良くなるようにリニューアル。1979年にはクリーム内の、ビタミン・カルシウム・乳酸菌の配合を強化し、子どもにも安心な栄養菓子として知名度を確立した。

2005年に実施した大幅リニューアルでは、クリームの分量を20%増やし、乳酸菌の配合を従来の4000万個から1億個へと増量。2020年には、生きたまま腸まで届く特徴を持つ「スポロ乳酸菌」と、乳酸菌の餌となる...

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