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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

ぺんてるサインペン60周年 大統領がヒットのきっかけに

ぺんてる サインペン

(左)1963(右)2023

ぺんてるの「サインペン」が誕生したのは1963年の1月。2023年で発売60周年を迎えた。発売3年前の1960年、同社は油性ペン「ぺんてるペン」を発売。フェルト製の太字用油性ペンしか存在していない時代に、アクリル繊維により細字での筆記を可能とした「ぺんてるペン」は、市場で大きな話題となった。

当時の主な筆記具は、鉛筆、万年筆、ボールペン、太字用油性マーカーなど。そのため、「ぺんてるペン」は“宛名書き”などにちょうど良い太さとして封書やはがきといった紙にも使用されたが、油性ペンであるため、“にじみ”や“裏移り”が発生。これらの課題を解決する世界初の中綿式水性ペンとして開発されたのが「サインペン」だった。

「ペン+筆=サインペン」というキャッチフレーズで販売を開始した「サインペン」であったが、売れ行きは芳しくなかったという。

そこで同社は海外市場に目を向け、1963年に出展したシカゴ文具国際見本市にて来場者サンプルとして「サインペン」を配布。すると、その内の1本が大統領報道官を経て、偶然リンドン・ジョンソン大統領の手にわたり、大統領が24ダース(288本)発注した話がメディアに大々的に取り上げられたことから、「サインペン」はアメリカ国内で人気商品となった。

「欧米にはサイン文化があるため、日本よりも『サインペン』を使用するシーンが多かったことも、ブームの要因ではないかと思います」と、同社ブランド企画部の井嶋杏氏は話す。その後、アメリカでの話題化が日本にも届き、「サインペン」は“逆輸入”のような形で日本国内でも人気の商品となったという。

60年間品質の改良は続けつつも、誕生時からほぼ変わらない形を維持してきた「サインペン」は、使用する人々の生活に寄り添い、幅広い用途で愛され続けている。

視点01 商品・ラインアップ
愛用者のニーズに応えたカラーバリエーションを展開

一般的な「丸形」ではなく、独自の「六角軸」を採用している「サインペン」。1963年1月の誕生時のインキ色は黒1色だったが、8カ月後の1963年9月には赤と青を加えた3色展開に。その後も様々なカラーバリエーションを販売し、現在は「黒・赤・青・緑・橙・黄色・桃色・空色」の8色を展開している。

「一時期、カラーバリエーションを絞って販売していた時期もあるのですが、『サインペン』を愛用いただいている方は、こだわりを持って使ってくださっている方も多く、『仕事ではピンクを自分の色として使っている』などの声も多くいただいたことから、現在の8色を展開しています。幅広い用途で多くの...

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