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社会学の視点

「楽しむ」というフロー体験

遠藤 薫氏(元・学習院大学)

棋士はなぜ将棋をさすのか 藤井五冠の快進撃に思う

将棋の藤井聡太五冠の快進撃が止まらない。五冠とは、竜王・王位・叡王・王将・棋聖という5つのメジャータイトルをさす。彼の圧倒的な強さがわかる。ご承知のように藤井五冠は、2016年に史上最年少でプロ入りを果たし、そのまま29連勝という公式戦最多連勝記録を樹立した。その後も様々な最年少記録を塗り替えてきた。そのため、多くのメディアが大々的に彼の活躍を伝え、その人気は社会現象ともなり、将棋ブームが沸騰している。タイトル戦の多くが生中継され、おやつや食事の詳細まで報道され、一躍人気商品となったりする。

よきライバルである永瀬九段は、2022年1月の「NEWSポストセブン」の記事で、藤井五冠の強さを「とんでもなく負けず嫌いなところ」と評している。確かに、小学2年で出場した「テーブルマークこども大会」の決勝で負けて大泣きした姿は、愛らしくありつつも、負けず嫌いさを印象づけた。永瀬九段によれば、「自分に負けることを許さず」、「努力10才能10」で現在の強さを勝ち取ったのだという。私のような凡人は、そんな「努力」からは裸足で逃げ出したくなってしまう。

しかも、将棋はそもそも二人の棋士が長時間にわたって盤面を睨み続けるという見た目は地味なゲームである。その上、藤井五冠は...

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