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VUCA時代の『アジャイル』型マーケティング

4つのPすべてが流動化する 「マーケティング」の今とこれから

「広告部」の名称が減り「マーケティング部」に変わる

ここ数年で、企業の中から「広告・宣伝部門」という名称がなくなり、かわりにマーケティング部門という名称を使う企業が増えています。この変遷の途中では、広告だけでなくトリプルメディアを統合的に活用したコミュニケーションが必要とされたことから、「広告部」「宣伝部」が「マーケティング・コミュニケーション部」や「広告・PR部」という名称に変わった時期もありました。

しかし、“統合的なマーケティング・コミュニケーション”の戦略だけでは立ち行かなくなりつつある現在の市場環境では、マーケティングの4つのPでいえば、Promotion以外のすべての要素を複合的に考え、真の意味でのマーケティングの企画・実行をできる組織が求められています。それが、先の組織名の変更に表れていると言えそうです。

視点を変えてみれば、企業側にPromotion以外の戦略を考える力がなかったわけではなく、Promotion以外の3つのPにおいては可変要素が少なく、あえて都度の戦略策定が必要ではなかったのではないか、という仮説も見えてきます。

なぜ、チャネルに適した戦略を考える必要性があるのか

例えば、私たち出版社の事例で考えてみます。従来で言えばPlace戦略は、取次を介した書店流通モデルが中心で、雑誌の定期購読という直売モデルを除けば、その多くを書店流通が担っており、必然的に「どこで売るか?」について議論をする余地はなかったとも言えます。

しかし、今の状況を見るとオンラインではAmazonはじめ複数のECプラットフォームが出版物の販売チャネルとして拡大し、また自社のECサイトで販売したり、紙の出版物をデジタル化することによって、コンテンツの出自は同じでも、売り方や売る場所も複数発生しています。

私たち出版社でも、「どのチャネルを選ぶか?」「何に優先的に投資するか?」や「選んだチャネルに合わせた商品開発をどうすべきか?」といった議論が常に起きていて、販売チャネルが複数に広がったことで、マーケティングにおけるPlaceの戦略を考えざるを得ない状況が生まれているのです。

製造業の顧客最適化を支える「モノ+コト」の考え方

そして、Productにも同様の変化が生まれています。先の出版社の事例で言えば、リアルかオンラインか、など販売チャネルに合わせた商品開発の必要性に問われています。

出版社以外に視野を広げてみれば、価値観が多様化し、マスマーケティングが通用しづらくなっていると言われます。そのような中では...

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