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VUCA時代の『アジャイル』型マーケティング

ロッテD2Cブランド「YOIYO」が短期間でファンから支持を得た方法

田中麻紀子氏(ロッテ)

チョコレート事業を開始してから約60年の歴史を持つロッテ。2021年に発売した初のD2Cチョコレートブランド「YOIYO」が、ファンから熱狂的な支持を受けている。なぜ、ローンチから短期間でロイヤル顧客を獲得できたのか。その背景にある実際の取り組みを、同社EC戦略部の田中麻紀子氏に聞いた。

D2Cで実現した流通課題の解決とブランドファンの育成

2021年2月にローンチしたロッテ初のD2Cブランド「YOIYO」。“日本に酔う、チョコレート”をコンセプトに、全国から選んだ酒造のお酒とコラボレーションするクラフト酒チョコレートを販売している。ローンチ以降にリリースした商品は毎回のように完売。熱狂的なファンからのリピート購入も多いのが特徴だ。

ロッテのチョコレート事業が開始してから57年目での開発となった「YOIYO」だが、同社で初めてのD2Cブランドとして発売に踏み切った。なぜ、従来のビジネスモデルではなく、D2Cでのローンチに至ったのか。「YOIYO」ブランドを担当する田中麻紀子氏は、大きく2つの理由があると話す。ひとつは、アルコールを使ったチョコレートの販売課題だった「冬季限定」を解決できることだ。

「当社の『ラミー』や『バッカス』といった洋酒チョコレートブランドは品質管理の問題から、気温の低い冬しか楽しんでいただけないという課題がありました。ECであれば1年を通じて冷蔵でお届けできるため、流通課題の解決策になり得ると考えました」(田中氏)。

しかし一番の狙いは、熱量の高いファンを獲得することだったと田中氏。D2Cのメリットとも言える、直接的な顧客との繋がりを存分に活用し、ファンとの深い関係性を構築したいと考えていたという。

「ロッテは、小売店への流通を介してお客さまに商品をお届けするのがメインの販売形態です。そのため、お客さまと直接繋がることが難しい側面もありました。一方、D2Cでは、お客さまと直接繋がることができるのはもちろん、ブランドの世界観を表現した自社サイトで販売できます。ブランドに対する共感を入り口に、長く愛されるブランドを育成できるのではないかと考えました」(田中氏)。

ロッテ初のD2Cブランド『YOIYO』。写真は北海道の厚岸蒸溜所とコラボレーションした商品。

「YOIYO」がロイヤルティの高いリピーターから支持を得る理由

熱量の高いファンとの深い関係性構築を目指し、D2Cを選択した「YOIYO」。その狙い通り、ロイヤルティの高いリピーターからの支持もあって...

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