イギリスの哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、著書『過程と実在』のなかで「有機体の哲学(Philosophy of Organism)」という言葉を生んだ。
有機体とは、多数の個が互いに密接な関連を持ち、ひとつの全体を形成しているもの。ホワイトヘッドは、世の中のすべての事象が、他のものと影響を及ぼしあって存在すると提示した。
「有機体の哲学」は、のちの研究者らによって「プロセス哲学」とも呼ばれ、すべての実在する「モノ」は、時間の経過によって変化し続ける「コト」である、という考え方が土台にある。ホワイトヘッドはその「コト」が生まれる創造に価値を見出し、プロセスを論じた。
本書『有機体的広告論』はこうした思想をもとに、その概念を広告論に置き換えて、今日的な広告のあり方を示していく。
著者は、立命館大学特任教授の小泉秀昭氏。小泉氏は、20年以上にわたり国内外の広告会社やコンサルティング会社において広告の実務に従事。また研究者としても、広告取引やメディアプランニングに関する研究に長年携わってきた。
小泉氏は、広告を取り巻く環境とプレーヤーの変化...
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