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国語学の視点

BOSS、モンスト、スコッティ…CMにおける宇宙人と宇宙人語

金水 敏氏(大阪大学)

ワレワレハ…だけじゃない!フィクションの世界の役割語

私は、主にフィクションにおいて、話し手のカテゴリー(性別、年齢、職業・階層等)に対応した話し方が話されることに着目し、それを「役割語」と名付けて研究している。役割語の分類としては〈男ことば〉〈女ことば〉〈老人語〉〈武士ことば〉〈上司語〉その他多数の種類が考えられるのだが、その起源の多くは、実際に話されている(あるいはかつて話されていた)発話スタイルである。

しかし役割語の中には、現実に話し手がいるとは思えないものもある。〈神様語〉〈幽霊語〉〈動物語〉などがそれで、そしてそこに〈宇宙人語〉も含まれる。とはいえ、フィクションやCMに登場する宇宙人は実にさまざまで、その発話スタイルもいろいろである。ここでは最近目に付いた3つのパターンをとり上げたい。

ひとつは、2006年から続いているサントリー食品インターナショナルの缶コーヒー「BOSS」のCMに登場する「宇宙人ジョーンズ」シリーズだ。これは言うまでもなく、ハリウッド映画の「MIB」(メン・イン・ブラック。1997年~)シリーズにインスピレーションを得てつくられており、映画と同じトミー・リー・ジョーンズが宇宙人ジョーンズを演じている(ただし映画のMIBでは普通の人間だ)。

その話し方は、ジョーンズが直接英語訛りの日本語で話す台詞と...

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