古典的名作に世相をまとわせる ポイントはギャップのつくり方
最近のテレビCMで目立つのは、国民的なキャラクターを借りてきてアレンジを加え、かつシリーズ化していく手法である。auの「三太郎」(桃太郎、金太郎、浦島太郎)シリーズ、ソフトバンクの「ドラえもん」、ワイモバイルの「天才バカボン」「おそ松くん」がそうだ。
これらの手法が広がっているのはそれなりの利点があるからで、それはまずキャラクターの知名度が圧倒的であり、あまり説明がいらないという点がひとつ。オリジナルのキャラクターがそれぞれに豊かなストーリーを持っており、エピソードや新キャラのネタに事欠かないという点がひとつ。そして、それぞれのキャラクターに“今”の世相をまとわせることでギャップをつくり出すことが容易であり、視聴者にインパクトを与えやすいというのも大きい理由であると考えられる。
そうした中で、独特のユニークさを誇っているのが、「家庭教師のトライ」の「教えて!トライさん」シリーズである(2012年放送開始)。上に掲げた事例はすべて、キャラクターを俳優が演じる実写CMであるが、「教えて!トライさん」は『アルプスの少女』(1974年放送)のオリジナルのアニメ映像に、新キャラやアレンジしたキャラを合成することでつくられている。
オリジナル作品はテレビアニメの中でも、もはや...
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