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国語学の視点

「そこに愛はあるんか?」関西弁CMのメリットとリスク

金水 敏氏(大阪大学)

静岡出身の長澤まさみ出演 関西人が聞いても完璧な方言CM

私は大阪生まれの関西在住者なので、それなりに大阪弁・関西弁には思い入れがある。だから自然に、関西弁を使ったCMはどうしても気になってしまう。私同様、関西人は総じて関西弁が好きなので、ローカルCMは関西弁オンパレードである。

「リステリン」(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の“マスク君”のCMのように、わざわざ関東版とは別につくり、台詞を全部関西弁にする例もある。一方で、全国版のCMで関西弁を積極的に採用している企業が少なからず存在するわけだが、あえていち方言である関西弁を採用する制作側の狙いとはどこにあるのだろうか。

ドラマなどのフィクションの世界に現れる“ヴァーチャル方言”について研究している田中ゆかり氏の『方言萌え!?ヴァーチャル方言を読み解く』(岩波書店、2016)には次のように記されている。

“全国方言の中でも、「方言ステレオタイプ」に基づく強いイメージを発する方言としては、「関西」「東北」「九州」が三大地域となる。テレビドラマの中での「記憶に残る方言キャラ」(2015年全国方言意識Web調査)によると、2位以下を大きく引き離して「大阪」がダントツ1位である。また同じ調査で方言イメージを調べると、京都は「かわいい」「女らしい」、大阪は...

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