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フランス消費トレンド

フランスでは消防士がモテる!── 国/文化によってヒーローは変わる

山本真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

革命記念日前夜は消防署がディスコ化!?

7月14日はフランス革命記念日─フランスで最も重要な祝日です。シャンゼリゼ通りで行われる軍事パレードやエッフェル塔の花火などイベントが盛りだくさんですが、その前夜に開催される消防署主催のダンスパーティー「バル・デ・ポンピエ」も恒例行事です。消防士(ポンピエ)を一目見ようと毎年、消防署前は女性客を中心に、長蛇の列ができるほど人気のイベントとなっています。

米「Harvard Business Review」誌(2012年10月号)が、データサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業」と紹介してから10年近くが経ちますが、フランスで「セクシーな職業は?」とたずねれば、いまだ多くの女性が真っ先に「消防士」と答えるでしょう。フランスの消防士の人気ぶりは目を見張るものがあり、今月はその理由を文化的観点と共にご紹介したいと思います。

パリ消防旅団による放水体験。

フランス人にとって消防士はどのような存在なのか?

困ったときの消防士。ハンサムで高潔、そして鍛え抜かれた体。私たちは皆、そんな彼に救出してもらうことを夢見ているのです。

これはフランスの大手出会い系サイトに書かれている消防士の職業説明です。内容からフランス人女性の消防士観が垣間見えますが、女性だけでなく広く国民の人気者です。

理由はいくつか考えられます。まず、ひとつは仕事の幅広さが挙げられます。火災対応に限らず、事故や(日本では自衛隊が対応するような)災害の人命救助から日常の些細な問題まで、広く問題解決をしてくれる頼れる存在であるということです。コロナ禍のワクチン接種でも会場の仕切りから注射にまで対応しています。

もうひとつの理由は、鍛え上げられた体を含めた容姿の良さです。街で見かける消防士は確かに胸板が厚く凛々しい人が多い気がします。

市民を守り、マッチョでイケメンとなれば人気がでないわけがありません。このため、消防士は子供たちにとって憧れの存在(=ヒーロー)で、「将来なりたい職業」のランキングを取ると、男の子の10位以内に消防士が入ってきます(就職支援サービスZetyの2019年の調査より)。

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