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フランス消費トレンド

フランスでAmazon独走に『待った』── 背後に潜む「女性性」の価値観

山本真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

Amazon 世界で好調もフランスでは苦戦?

新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で世界的に拡大したEC市場。eMarketerによると、2020年の世界EC市場規模は4.28兆USドル(約440兆円)、前年比27.6%増の成長を記録し、小売市場に占める割合は18%(4.4%増)まで高まりました。

ECの代表格のAmazonはといえば、同年売上は3860億USドル(約41兆円)、前年比37%増とEC市場全体よりも高い成長を遂げました。主要国は軒並み2ケタ成長(日本27.9%増、米36.1%増、英51.1%増、独33.0%増)を確保し、日欧米でAmazonが独走しているように見えます。

ところがKantarの報告によると、フランスではEC市場規模が前年比24%増で成長したのに対し、仏・Amazonの売上は前年比7%増にとどまり、シェアは一昨年の22%から19%へ減少といまひとつ元気がありません。今月は、フランスにおけるAmazonを取り巻く状況を紹介したいと思います。

フランスでの伸び悩みの背景にAmazonバッシング

フランスにてAmazonが伸び悩んだ主な要因は、3つ考えられます。ひとつ目は、ロックダウン中に国内倉庫が一時閉鎖したことによる販売機会損失。2つ目は、小売が展開する「クリック&コレクト」の普及が進んだこと。3つ目は、「Amazonバッシング」の影響です。

クリック&コレクトは小売のECで注文した商品を実店舗で受け取れるサービスで、配送遅延や紛失を心配することなく商品を都合の良い時間に確実に入手できる安心感と利便性から急速に広がりました。実店舗での買物を好むフランス人の感覚とも相性が良く、今後小売業の生き残り戦略の主軸になっていくと言われています。

脈々と続くAmazonバッシングの影響も無視できません。フランスでは2014年にEC事業者に書籍の無料配送を禁止する法案(通称、反Amazon法)が施行されるなど、何かとAmazonとやり合ってきましたが昨年、目立った動きを見せたのは政治家、学者、書店、出版社、環境保護団体などの代表ら120名が立ち上げた「Stop Amazon」運動です。

仏・Amazonに対し特別税を課すよう求めたり、クリスマス中には不買運動を...

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