生成AI広告、TikTok規制法、X離れにブルースカイ 2025年の米国・マーケティングはどこに行く?
ここ数年の人工知能(AI)の発達により対応を迫られている米マーケティング業界。2025年はどのような年になるのだろうか。
米国広告マーケティング事情
昨年春からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、アジア系米国人に対する嫌がらせや暴力事件が急増している。アジア・太平洋諸島系アメリカ人(AAPI = Asian Americans and Pacific Islanders)を擁護する非営利団体「STOP AAPI HATE」がまとめたAAPIへの暴力事件は、2020年で3292件、今年1~2月だけで503件起きている。
特に衝撃的だったのが、3月16日にアトランタ郊外のアジア系マッサージ店を襲った銃殺事件。殺害された8人中6人がアジア系住民だった。また西海岸・東海岸の大都市でもアジア系を無差別に襲った暴力事件が多発している。そして一向に収まる気配のないアジアン・ヘイトクライムに対し、多くの企業・団体・著名人が立ち上がっている。
全米広告主協会(ANA = Association of National Advertisers)は3月、AAPIに対する暴力撲滅を訴える全面広告をニューヨーク・タイムズ紙とUSAトゥデイ紙に掲載した。同広告で「我々はジョー・バイデン大統領の声明『(AAPIへの暴力は)間違っている。非アメリカ的だ。止めなければならない』という意見に同意する」と述べ、大手企業や業界団体の著名人91人の署名入りで世間に訴えた。
また同団体はHPにて“Stop the Hate” Industry Toolkitを公開。犯罪を防止するために必要な施策を5つのパート(Educate/Amplify/Invest/Support/Speak Up)に分け、広告業界が担う責務を詳しく解説している。またプレスリリースでは「同盟団体として、ANAはAAPIコミュニティに対する公正と支持を促進するために、通知・教育・約束・投資による活動を強化することを公約する」と宣言した。
ANAだけでなく、広告業界全体が動き出している。大手広告代理店Wieden+Kennedyはアジア系への犯罪が増え始めた昨年5月、反暴力キャンペーンビデオ“Call It Covid-19”をオンラインでリリースした。そしてアトランタ事件後にビデオを再編集し、同キャンペーンを再スタートした。新バージョンではナイフで顔面を切られた男性、路上で蹴られている女性、誹謗中傷の落書きを書かれたレストランの写真などが追加され、「(昨年から)何か変わりましたか?...