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ワールド・レポート

スパイクスアジア2021に見る 新たなコミュニケーションの潮流

アジア地域最大級の広告賞であるSpikes Asiaは、Eurobest(ユーロベスト)、Dubai Lynx(ドバイリンクス)と共に、カンヌライオンズの地域版フェスティバルとして開催されている。今年は3223作品がエントリー。18カ国86人の審査員によって、23カテゴリーが審査され、3月4日、受賞作品が発表された。ここでは5部門のグランプリ作品を紹介する。

01 Design他:SAATCHI & SAATCHI
誰かの助けになる 豪州の1ドル硬貨

THE ROYAL AUSTRALIAN MINT「DONATION DOLLAR」


キャッシュレス化が進み人々のポケットからコインが減ると、何が起こるだろうか。

2020年、オーストラリアの財務省は、同国が29年ぶりの不景気に突入したことを発表した。これは前年の大規模森林火災や新型コロナウイルスの影響によるもの。多くの国民の生活が危機的状況にあるなかで、様々なチャリティー活動が行われていた。しかし多くの慈善団体では、キャッシュレス社会でコインの流通が減少したことが影響し、活動資金不足に陥っていたのだ。

そこで王立オーストラリア造幣局は2020年9月、新たな1ドル硬貨「DONATION DOLLAR」を発行した。国民ひとりずつに行きわたる、約2500万枚のコイン。裏面には、「Give to help others(誰かの助けになろう)」という刻印が施されており、何かが起きたときだけではなく、一年中、人々に寄付することを思い出させるように設計されている。

このコインはもちろん、通常の1ドル硬貨と同様に使用することができる。しかし、もしすべてのオーストラリア国民が毎月1ドルだけ寄付すれば、その額は毎年3億ドル(約200億円)に達する。コインのライフサイクルは平均30年。自分の手元に巡ってくるたび寄付を続ければ、将来的に90億ドルを調達することができるのだ。

コイン中央の緑色部分は、使えば使うほど摩耗するように設計されており、コインが流通して、だれかの役に立つたび、金色の波紋が浮かびあがる仕組みだ。

2カ月で53%が寄付に使われたことが確認されたこの取り組みは、デザイン、ダイレクト...

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