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ジャーナリストが選ぶクリエイティブ Epica Awards 2020 発表

広告・マーケティングメディアの編集者や、各分野の専門記者たちが審査を務める「Epica Awards」。12月17日、2020年度のグランプリがオンラインで発表された。今年は59カ国から1980作品がエントリー。ここでは、グランプリ1作品と、各部門のゴールドから4作品を紹介する。

01 Product Design部門:Rethink
ケチャップ色のパズルで、ゆっくりステイホーム

Heinz Ketchup Canada「Heinz Ketchup Puzzle」


コロナ禍で多くのブランドがソーシャルディスタンスやステイホームの呼びかけといったメッセージ広告を発信するなか、2020年5月、トマトケチャップで有名な食品メーカーのハインツが行ったキャンペーンが、プロダクトデザイン部門でグランプリを受賞した。

同社が製作したのは、全て同一のケチャップ色で、全570ピースで構成される「地球上でもっとも完成が遅いパズル」。

通常のジグゾーパズルのようにピースのデザインで判別するのが困難なため、完成には膨大な時間がかかるものの、ステイホーム期間で手持無沙汰になり退屈していた人々の需要とマッチした。これは、その濃厚さで「ゆっくり出てくる」ことを売りにしている同社ならではのメッセージにもなっている。

当初はSNSキャンペーンの景品として17カ国57組のセットが用意されていたが、消費者から販売してほしいとの要望が殺到したために急遽商品化され、わずか5日で完売したという。

ちなみに、「57」という数字はハインツにとって大切な数字。1896年、創業者H.J.ハインツが電車の中で自社広告について考えていた時、ある靴の会社の「21のスタイルの靴」という車内広告に目が止まった。そのときに頭に浮かんで離れなかったのが、「57」の数字。当時既に商品は60種類を超えていたにも関わらず、それがきっかけで“57 Varieties”というキャッチフレーズが生まれたそうだ。

この施策はSNSや各種メディアで大々的に取りあげられ、パズルは175ドルもの値が付けられて転売されるほど。世界で12.5億インプレッションと大きな注目を集め、売上は17.9%増加。ハインツのブランドイメージ向上に貢献した。

エージェンシーのRethinkは本作品のほか...

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