イギリス広告業界の支援を目的とする非営利団体IPAが主催する本アワードは、マーケティング活動によって傑出した成果を獲得した広告会社や広告主企業がエントリー。64の応募の中から5つのゴールド、6つのシルバー、14個のブロンズ、そして10個の特別賞が選出された。今回はゴールド受賞作品を紹介する。
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テスコの起死回生ストーリー
Tesco「From running shops to serving customers:The Tesco turnaround story」
スーパーマーケットなどを手掛けるイギリスの大手小売りチェーン「テスコ」。度重なる不正会計の発覚により、2015年にはイギリスの小売業者としては史上最大となる64億ポンドもの年間損失を記録した。
そこで同社は、消費者の信頼を取り戻すべく「イギリスの買い物客に少しでもより良い毎日を提供する」を新たな目標に設定。発信するメッセージ、ターゲティング、メディアの選択、製品開発と、あらゆる観点において、より顧客主導になるよう様々な施策を行った。
同社はまず、これまでよりも約15%安価な新しい生鮮食料品のブランドラインを立ち上げ、コスト意識の高い消費者へアピール。一方で、高品質アイテムのパッケージにより高級感を持たせるなど、商品デザインや施策の方向性を再検討した。
さらに、WebサイトやSNSを活用したデジタルマーケティングを重視し、予算配分の見直しを実行。「Food Love Stories」のキャンペーンでは、食事にまつわるストーリーとともにレシピを紹介。ユーザーは自分のつくった料理をハッシュタグで共有した。
また、2019年末にはこれまでの無料会員に加え、“テスコクラブカードプラス”というサブスクリプションサービスも開始。会費は月額7.99ポンド(約1120円)で、プライベートブランド商品や、テスコ店内の飲食店での優待割引などのサービスが受けられるというもの。かねてより会員カードによる膨大な顧客データを活用したCRM戦略に長けていた同社。デジタルマーケティングへの移行とあわせ、より個人ごとにカスタマイズされたアプローチをすることで...