韓国・釜山市で行われる、全世界を対象とした広告賞「AD STARS 2020(釜山国際広告祭)」の受賞結果が発表となった。13回目を迎えた本年度のテーマは「Re:AD - Rethink,redefine and redesign」。60の国と地域から2万28件のエントリーがあった。今回、アジアの作品と、オセアニア地域の作品を紹介する。
01 Brand Experience & Activation部門:ImpactBBDO
すべての女性たちに捧げる歌
An-Nahar「The New National Anthem Edition」
本年度のグランプリに選ばれたのは2作品。ひとつは、2015年に世界初の点字スマートウォッチを発表した韓国のスタートアップ企業Dot IncorporationとServiceplan Koreaによる、視覚障害者を支援するデバイス「Dot Translate.The First Braille Translator Based on AI.」。
そしてもう1作品が、レバノンの日刊紙「An-Nahar(アンナハール)」の「The New National Anthem Edition」だ。
レバノンでは2019年9月、反政府デモが激化。数十万人が首都のベイルートほか各地に押し寄せ、乱闘や発砲が繰り返されていた。
暴力ではない解決を求めたAn-Naharは10月31日、新聞の一面に“新しい国歌”を掲載。「birthplace of men(男性発祥の地)」という歌詞を、「birthplace of men and women(男性と女性発祥の地)」に変更したのだ。その新しい国歌は、新聞社のオフィス壁面にも掲示され、ラジオでは国民的歌手のキャロル・サマハの歌声が流れた。
この歌は「聖歌」となった。ベイルート中心部の殉教者広場に集まったレバノンの女性たち。より良い国を要求するために、平等な権利を求めて“歌い”、革命において非常に重要な役割を担ったのだ。
2020年1月、アウン大統領は閣僚20人からなる新内閣を任命した。そのうちの6名が女性で、過去最高の人数。国防大臣に女性が任命されるのは、アラブ諸国で初めてのことだった。
審査員のひとりLevi Slavin氏は、「国歌には、その集団の信念や文化が表現されている。そこには大きな問題が隠されている可能性がある」と述べ...