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「ポスト2020」広告マーケティングの行方

東京2020大会とオリンピックマーケティング

成熟社会における、新しいイノベーションの形

東京2020大会の開催に向け、ゴールドパートナー企業をはじめ、多くの企業が、この好機をイノベーションに生かそうと取り組みを進めてきた。大会は延期になったが、1年という時間が増えたことがチャンスにもなる。ゴールドパートナー企業の1社、NECの山本啓一朗氏が聞き手となり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)マーケティング局長の坂牧政彦氏に話を聞く。

山本:先日、組織委員会から開催が1年延期になった東京2020大会に向けた方針や今後のロードマップが示されました。現時点での率直な想いをお聞かせください。

坂牧:もし今年、大会が開催されていたら、今日(7月6日に取材)は開会式の18日前。各国から選手団が続々と到着し、日本全国が祝祭ムードに包まれていたはず・・・。そういったことを鑑みると、確かに残念ではあります。しかし、組織委員会のマーケティング局長として、完全に気持ちは切り替わりました。

山本:山本:来年の大会開催の方針をお聞かせください。

坂牧:大会の方針として安心・安全、さらにコスト削減、スリム化を掲げています。もちろん無駄は排除していきますが、それでも本質的な部分は残さないといけない。いま、内部で議論を進めている状況です。スリム化は実現しながらも、大会の価値は下げない。その実現のためにはパートナー企業の皆さんの協力も必要です。率直なところ「今、立ち止まっている暇はない」という心境です。

山本:ゴールドパートナー企業は、開催の延期が決まり、広告活動を中止していましたが、ここにきて、少しずつ活動が再開されているようです。この動きをどう見ていますか。

坂牧:最近になって、選手を起用した新しいテレビCMの放映を開始するパートナー企業さんが出てきたので、ありがたいと思っています。組織委員会が世の中のブームアップに直接、関わることは難しいかわりに、日本の場合には、パートナー企業がムーブメントをつくりあげてくれている。これはあくまで私の個人的な考えですが、「こんな時代だからこそ、オリンピックをやろう」という発信を82社(2020年7月6日時点)のすべてのパートナー企業が始めたら世の中は変わるはず、と思います。

現状、メディアの論調がネガティブモードになっているところもありますが、各種調査を見ていると2020年7月6日時点で「開催してほしい」と答えている人が6割くらいいる。期待値はあると思うのですが、発信を強化するタイミング、その判断は慎重にならざるを得ないところがありますね。

山本:東京2020ゴールドパートナー企業の皆さんとも話しているのですが、企業としてPR活動を始めるタイミング、そのゴーサインをいつ出すかの見極めが非常に難しいです。そこで、皆で一斉に一歩を踏み出せないか、議論していたりもします。

坂牧:グローバルカンパニーが多いから、日本さえよければいいというわけではないですから判断は難しいですよね。

山本:コロナの件に限らず、東京2020大会のマーケティングの難しさとは何だと思いますか。

坂牧:東京2020大会は...

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