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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

発売60年、「ファンタ」に見るロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

日本コカ・コーラ ファンタ

(左)1958 (右)2018

"Fantastic"と"Fantasy"を商品名の由来に持ち、フルーティな味わいとポップなイメージで支持を集める「ファンタ」。生まれは1940年のドイツ。第二次世界大戦中、「コカ・コーラ」を並行輸入できなくなり代替品を検討、国内で調達できる原料で開発されたのがはじまりという。

その後、イタリア・ナポリで「ファンタ オレンジ」が誕生するなど、世界22カ国で人気を博しながら18年の時を経て、「ファンタ」は日本へやってきた。

「当時の日本は、高度経済成長期。日本でも『コカ·コーラ』を製造販売したい、と米国本社と交渉を重ねていました。ようやく米国本社から許可は下りたものの、「コカ・コーラ」は原液を輸入する必要があり、国の規制がかかってしまいました。そこで日本で原液を製造でき、日本市場に合う飲料として『ファンタ』が選ばれたと聞いています」と、日本コカ・コーラで広報を務める戸塚令子氏は語る。

1958年、すでに15種類以上のフレーバーがあったというが、日本市場に選ばれたのは「オレンジ」「グレープ」「クラブソーダ」の3つ。そこから「グレープ」と「オレンジ」はアップデートを重ねながら、60年間愛されてきた。

いまでは、日本のフルーツ炭酸飲料カテゴリーで売上1位を誇るブランド「ファンタ」だが、長い歴史の中では苦戦を強いられた時期もあった。「例えば、2011年の東日本大震災の時は飲料水やお茶のニーズが高まり、『ファンタ』は生産量を抑えたことで、そのままブランドの勢いが落ち着いてしまいました」と戸塚氏は振り返る。

そこから5年経った2016年、「ファンタ」は元気を取り戻し始める。CMキャラクターとして菅田将暉さんを起用したことに加え、2017年に発売したパッケージに性格に紐づくペルソナを記載した、「ファンタ」みんなのキャラボトルがヒットしたのだ。「ターゲット層のティーンを中心にこのパッケージは大好評でした。60周年を機に採用した『ファンタ』みんなのカンパイボトルも、そこから着想を得ています」(戸塚氏)。

「ファンタ」は弾ける楽しさを大切にしており、ターゲット層は好みや行動の移り変わりが激しいため、商品やコミュニケーションでは常に新鮮さを心掛けているという。「当社内でも、先進的な取り組みにチャレンジするブランドとして『ファンタ』は知られているんです」。競争が激しい炭酸飲料市場で60年間愛され続ける背景には、いままでもこれからも続く"全力疾走"があると言えそうだ。

視点01 商品開発
愛着と新鮮さを生み続ける二軸のフレーバー展開

ロングセラー商品としての安定感を保ちながら、ブランドとしてはフルーティなフレーバーと"現実から解き放ってくれるような、弾ける楽しさ"を提供し続けるため、「定番」フレーバーと新しい魅力を発信し続ける多種多様な「期間限定」フレーバーの二軸展開を実施している「ファンタ」 …

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