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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

「果汁100」にこだわって安心感を醸成してきた、日本のグミのスタンダード

明治 果汁グミ

(左)1988 (右)2018

ぶどうやみかん等の果物をかたどり、指先にちょこんと乗るサイズ感が魅力の「果汁グミ」。1988年に誕生した明治のロングセラー商品は、今年で30周年を迎える。

日本におけるグミの歴史は、40年ほど前にさかのぼる。主力商品がチョコレートだった明治が、夏場にも需要がある食べ物として着目したのだ。「グミはもともと、ヨーロッパでは広く浸透していました。ドイツ発の『HARIBO』なども有名ですよね。日本では1980年に当社が『コーラアップ』を販売したのが初めてで、裏にオブラードが付いていて、ぴゅっと指で押し出して食べる子ども向けのお菓子でした」と菓子マーケティング部の船山 慶氏は語る。

そこから8年後の1988年、「果汁グミ」の歴史は始まる。幅広いターゲットを対象に、"果汁100"へこだわって駄菓子系グミとは異なる位置づけで発売したのだ。

「グミはいま、ハードな食感やすっぱい味付けなど、いろいろな軸がありますが、お客さまにとっての"スタンダード"なグミは果汁グミではないか、と私たちは考えています。食感が心地よく、固すぎず軟すぎない、いわゆる連食性と呼んでいますが、ついぽいぽい口に運んでしまう食感。グミとしての基本ニーズを満たしたうえで、安全安心でナチュラルなところが、支持を得てきた理由だと捉えています」。

時代に合わせて磨かれてきた「果汁グミ」が守ってきたもの、それは"果汁100"であることだ。加えて、2002年からは"着色料不使用"にもこだわっていると話す。「安心して三世代で召し上がっていただけるものというポリシーはいままでも、これからも変えてはいけないと考えています」。

30年間も愛され続ける「果汁グミ」だが、過去にはピンチを迎えた時期もあった。2000年前半、他社商品にグミ市場のブランドシェアNo.1を奪われてしまったのだ。しかし、その状況を打破できたのは、ピンチに瀕して流行りを後追いせず、打ち出すべき"果物"というこの商品の本質に立ち返り、施策を打ち出したためだろうと当時を振り返る。

30周年を迎えた同商品はいま、プロモーションターゲットをF1層に絞り、戦略を展開する。お客さまと一緒に時を重ねてきた「果汁グミ」のイメージを、いま一度長く愛されるブランドとして浸透するべく、若年層へのアプローチ強化が狙いだ。また、シェアしにくいというイメージ払拭のため、個包装商品も発売。「人にあげる」食シーンの開拓を目指すなど、グミのスタンダードを築いてきたブランドとして、さらなるグミ市場全体の拡大を図っていく。

視点01 ブランド戦略
知名度を活かして新商品を展開

発売以来"果汁100"にこだわって、安全安心なイメージを守ってきた「果汁グミ」 …

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