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フランス消費トレンド

遠くて近い国「エチオピア」─日本と通ずるおもてなし文化

山本真郷、渡辺寧

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

アフリカでナンバーワンを誇るエチオピアの経済成長率

最後の成長市場と評されるアフリカ。富士フイルムではその大半地域の事業展開(写真事業)をフランス経由で取り組んでいます。フランスが旧仏領を中心に歴史、経済、文化など、あらゆる面でアフリカとのつながりが深いためです。

そこでフランス現地法人に勤める私も、アフリカに出張する機会が多くあります。今回は直近で出張した「エチオピア」の動向を前編と後編の二回に分けてレポートしたいと思います。前編は「文化」の観点でビジネスのヒントに迫ります。

首都アディスアベバの空港に降り立ち、出迎えてくれた取引先の第一声は「長旅で疲れただろう。まずコーヒーを飲みに行こう」という、いかにもコーヒー生産国らしい言葉でした。同国はコーヒー発祥の地と言われ、豆の生産量はアフリカ1位(世界5位)、輸出額の約4分の1がコーヒーに依存しています。

かつては干ばつによる飢餓に苦しみ、いまだ世界最貧国のひとつですが、ここ10年間で平均10%レベルの目覚しい経済成長を遂げ、世界の注目を集めています(2014年経済成長率:10.3%、世界1位)。

「コーヒー」を軸としたシェアリング・ソサエティー

エチオピアは日本から遠く離れた異国ですが、興味深いことに日本に近い生活習慣やしきたりを持ち合わせています。挨拶の際は腰を屈めてお辞儀をし、年配者を敬い、家族・地域の集まりを大切にし、庭仕事を好むなど、一昔前の日本を彷彿とさせます。国の歴史が古く、70年代まで王室が存在したこともあり、形式や儀式が重んじられているということが考えられます。

一方、日本人と大きく異なるのは、底抜けに明るい気質でしょうか。滞在中、取引先のトップ(年配者)自らが終始同行し、もてなしてくれた点も印象的でした。自分は立場が上なので、対応は部下に任せる、ということがないのです。

同国では千年以上にも渡るコーヒーの長い歴史の中で、日本の「茶道」に似た「コーヒーセレモニー」と呼ばれる「客人をもてなす文化」が育まれ、現在も生活に根差した慣習となっていますので、こうした文化が背景にあるのかもしれません …

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