2014年話題になった広告の中で、あなたがグランプリを選ぶとしたら何ですか?『宣伝会議』では、2014年に発表された広告賞各賞の主要な受賞作の中から、広告界の今後を担う、企業から参加の講座受講生の皆さんと“ベスト・オブ・ベスト”を選ぶ「宣伝会議グランプリ」を開催。2014年の広告シーンを、受講生の皆さんのコメントと共に振り返ります。
2位
味の素
和風調味料群 「和食は、和色で、できている。」
新聞広告・雑誌広告
新聞広告30段。ほかシリーズに「日本には、お母さんが毎日つくる世界の文化遺産があります。」など。
受講生comment
和食という世の中の話題と、味の素の組み合わせで日本のよさを表現しており、
日本人としての共感度が高い広告(男性/35歳/メーカー/マーケティング)
キャッチコピーに惹かれた。また、新聞広告の紙質だからこそ、周囲の和食の色合いがマッチしている
(美容/Webプロモーション・宣伝PR/マーケティング部)
言葉でも、ポスタービジュアルでも、伝えたいことが直感で分かる
(男性/41歳/公務員/プロモーション)
日本の伝統食と「色」がとても印象の残る形で表現されていて、メッセージが伝わりやすい
(女性/30代/製造業/マーケティング)
日本人の心に響くコピーの数々
30段の紙面いっぱいに、彩り豊かな和食の写真が並ぶ。その脇には「黄水仙(きすいせん)」「香櫞緑(こうえんみどり)」「ひまわり色」「乳白(にゅうはく)」など、聞きなれない和色の名前が添えられている。
味の素では、ユネスコ無形文化遺産に和食が登録されたのを機に、「祝・ユネスコ無形文化遺産登録」を共通テーマにシンボルマークを制作、新聞広告、雑誌広告、ラジオCM、中吊り広告を使って多面的に展開した。
この新聞広告は、そのうちの1点で日本の四季と自然が生み出した数々の「和色」と、旬の食材を煮る、焼く、蒸す、揚げる、あえるなど多彩な調理法で楽しむ「和食」を組み合わせ、その豊かさを表現するもの。「和食は、和色で、できている。」という印象的なコピーと鮮やかな写真が一体となった完成度の高いビジュアルで、和食の魅力を最大限に伝えた。この広告で、日本に生活していることを誇らしく思った人も多かったのではないだろうか。
この広告のほかにも、「日本には、お母さんが毎日つくる世界遺産があります。」というコピーを使った広告も展開した。こちらは、春夏秋冬の代表的な和食メニューを並べ、世界自然遺産に登録された富士山の四季のビジュアルとあわせて見せた。「今回の無形文化遺産登録をきっかけに、日頃見落としがちな和食の価値やその素晴らしさに改めて気づいてもらい、和食を作る機会をもっと増やしてもらいたいという願いを込めて制作した」(味の素 広告部)という。
文化遺産登録で和食が社会に注目されるタイミングをうまく捉え、端正な表現で和食の奥深い魅力にいざない、和食の普及に取り組む企業の姿勢を伝えた。こうした点が共感を呼び、評価につながったようだ。
受賞
広告電通賞 新聞広告 食品・飲料部門 最優秀賞・雑誌広告 雑誌広告電通賞/新聞広告賞 広告主部門・新聞広告賞
広告会社
電通
3位
東日本旅客鉄道
「行くぜ、東北。」
新聞広告
シンプルで語りすぎない表現が、鉄道の旅や東北に対する様々な思いを喚起する。
受講生comment
冬の東北をキレイなシーンで写し取っていて、行きたくなる
(女性/30代/製造業/マーケティング)
コピーが好き。旅=出会いを上手く表現
(男性/35歳/メーカー/マーケティング)
冬景色の中を列車が走る印象的な写真に、「行くぜ、東北。」のロゴ、コピーが一体となり、旅情をかきたてる。閑散期である冬の東北に…