広告制作、メディアバイイング業務の効率化を目的に大手クライアント企業を中心に設立されてきたハウスエージェンシー。その出自はクライアント企業専属だけでなく、メディア企業専属など様々あるが、ここではデジタル化の流れの中で、特に新たな役割に期待が集まるクライアント専属のハウスエージェンシービジネスについてレポートする。
米国で増えるインハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーを設置している企業は全体の58%。米国広告主協会(Association of National Ad vertisers)が発表した調査によると、ハウスエージェンシーを設置している企業の割合は2008年から2013年までの5年で16ポイント増加している(図1)。その背景にある変化としては、消費者との接点のデジタル化、それに伴い消費者データ取得が容易になったことが挙げられる。デジタル化の進展、データをもとにしたマーケティング活動、さらには施策の結果に基づき高速でPDCAを回していくことが重視される流れの中で、顧客に関わるデータを扱うことからも広告・マーケティング活動の内制化が進み始めているのだ。
米国に浸透するデジタルマーケティングの波は2~3年のタイムラグがあるものの、確実に日本にもやってくる。日本でもマス広告に機軸を置く、これまでのモデルから、デジタル時代に対応したマーケティングへと移行する中で、古くからあるハウスエージェンシーにこれまでとは違う機能・役割が期待されつつある。
日本企業ならではのマーケティング課題
需要が急拡大する高度経済成長期には…
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