日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

スタートアップ企業の転機

「季節性」訴求した提案型リリースで、パブリシティ獲得しサービス利用者も増加

下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、メディアで話題となっているスタートアップ企業の転機に迫ります。

DATA:スペースマーケット
創業年 2014年1月
事業内容 時間単位で貸し借りできるシェアリングスペースのプラットフォームサービスを運営
従業員数 71人(2023年3月31日時点)
広報体制 1人

「スペースマーケット」は、その社名の通り、スペースを時間単位で貸し借りするプラットフォームだ。これまでに、テレビ東京『ガイアの夜明け』『WBS』などの経済報道番組から、一般のニュース番組、日経新聞などの全国紙と、相当数のメディア露出を獲得してきた。

「当サービスは、シェアスペースの借り手に加え、貸し先となる登録物件数を増やさないと成り立ちません。双方へのアプローチのため、創業当初から広報には力を入れていました」と語るのは、創業者であり代表取締役社長の重松大輔氏だ。

スペースマーケットの広報において、創業初期に大きな武器となったのが「古民家」「映画館」「野球場」のような「変わった場所が借りられる」という特徴をアピールすることだ。「プレスリリースのトップに『野球場の写真』を入れ込むなど、『インパクトのある画』をどのように掲載するかといった逆算の視点から、広報効果を高める施策を考えていきました」と重松社長は打ち明ける。

季節性に合わせた調査リリース

創業から約1年後、端山愛子氏が、“第一号広報”として加わる。

端山氏の加入後、特に注力するようになったのが「季節の話題とサービス内容を掛け合わせた情報の提供」だ。なかでも「お花見」に関連したプレスリリースは多くのメディアに取り上げられた。

「メディアが取り上げやすい季節ネタをうまく取り込みながら自社サービスを認知につなげるには、どのような情報を出すべきか。調べてみると『お花見』に関連した情報を出している企業が少ないことに気がつきました」。端山氏はこう打ち明けてくれた。

そこで、メディア関係者限定の「お花見の最新トレンド情報を発表するセミナー」を、2018年3月7日に開催した。室内で行う花見を「インドア花見」と銘打って「桜が装飾された室内スペース」や「窓から桜が見えるスペース」、「お庭を貸し切ったゆったりお花見」などを紹介したのだ。

さらに同年の3月19日には、プラットフォーム内のコンテンツにて「インドア花見特集」をスタート。「インドア花見」のメリットやおすすめシチュエーションを記載...

あと59%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

スタートアップ企業の転機 の記事一覧

「季節性」訴求した提案型リリースで、パブリシティ獲得しサービス利用者も増加(この記事です)
自社の魅力を多面的に把握し 番組特性に合わせたアピールを
番組制作側の目線を持った情報発信で、メディア露出続々
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する