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スタートアップ企業の転機

番組制作側の目線を持った情報発信で、メディア露出続々

下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、メディアで話題となっているスタートアップ企業の転機に迫ります。

DATA おてつたび
創業年 2018年
事業内容 農家などと「働きながら各地を旅したい」若い世代のマッチングサービス「おてつたび」を運営
従業員数 10人
広報体制 1人


「おてつたび」とは「お手伝い」と「旅」をかけ合わせた造語だ。名前の通り、地域の短期的・季節的な人手不足で困っている農家や旅館などの事業者と「働きながら各地を旅したい」という若い世代をマッチングするウェブサービスだ。報酬を得ながら旅ができるため、行きにくい地域への旅でネックとなる旅費が軽減される。

「おてつたび」のサービスモデル。お手伝い(仕事)をして報酬を得ながら、地域と交流することができる。

リリースを絶妙なタイミングで発信

今回、話を聞いたのは創業期には自ら広報を手がけていた永岡里菜社長と2年前からそのバトンを受け継いでいる広報担当の園田稚彩氏だ。

最初のテレビ取材は創業から10カ後の2019年4月末に「GW中もおてつたび実施中」という内容で発信したプレスリリースがきっかけだ。

これでNHK『ニュースウオッチ9』から連絡が入る。「今日、取材に伺っていいですか」。

GW直前のタイミングのプレスリリースは、私から見ても絶妙と言える。その内容はシンプルで「GW中も実施している」というもの。

テレビは「ネタ枯れ」と言われるGW中。世の中の動きが止まり、報じられるのは定番の渋滞情報くらい。番組の枠を埋めるのに四苦八苦する時期だ。その絶妙なタイミングでGWの過ごし方の代表格である「旅」に関する、新しいサービス。困っている制作者であれば、すぐに飛びつくはずだ。

その後「転機」が訪れる。「おてつたび」が『ガイアの夜明け』で特集されたのだ。

コロナ禍の真っ只中である2020年4月。「おてつたび」は、1枚のプレスリリースを発表した。タイトルは「新型コロナウィルスの影響を受け人手不足が加速する一次産業と、観光業の人材をシェアリングする『おてつたび+』をリリース」。

この4月のプレスリリースを見た『ガイアの夜明け』を担当する制作会社のディレクターから、2カ後の6月に電話が...

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