従来の定型的な情報開示に留まらず、多様な方法で株主や投資家、アナリストに社の魅力を伝えようと試みる、IR実務担当者が登場します。

統合報告書も活用して投資家との対話を深めている。
日本ペイントホールディングスは塗料分野でアジア1位、世界4位のシェアを誇る日本発のグローバル企業です。株主価値最大化(MSV)を経営上の唯一のミッションとし、既存事業の拡大と積極的M&Aで成長しています。IRのミッションは世界中の対象投資家との戦略的な対話およびフェアディスクロージャーの徹底により、正しい理解・評価を促進すると共に、信頼関係の構築および期待値を高め、MSVを支えることです。
4年前からIR体制を刷新・強化してきましたが、当時のIR課題は、❶海外機関投資家の長期保有者の不在(上位はほぼパッシブ)、❷「中国銘柄」のレッテル(個社業績よりも中国ニュースに反応)、❸株式の流動性の低さ(流動性対時価総額比率0.1%前後)の3点でした。
これらの課題の根源は4つあり、特に、①経営陣とスクラムを組んで策定すべき「IRストーリーの欠如」が大きく、これにより長期保有困難、中国イベントドリブン売買、流動性低下、の悪循環をもたらしていました。また、②口頭のみの情報開示や英文開示の遅れなど「適時・公平開示の不足」に加え、③説明会資料など「開示ツールの質的・量的不足」により、意図しない情報が拡散しやすい...
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