サステナブル経営を推進する、化学メーカーのダイセルでは、ESG評価の向上を目指し、サイトのサステナビリティページを通じて、評価機関が求める情報を開示している。その結果、どのような変化が生まれたのか。

ダイセル公式サイトのサステナビリティページ
URL:https://www.daicel.com/sustainability/
ダイセルのサステナビリティ情報発信のポイント
●ESG評価のエビデンスとして求められている情報をサイトに掲載
●サイトの主なターゲットは投資家とESG評価機関
●結果、GPIFが採用する全てのESG指数の構成銘柄に選定
●サイト発信はサステナブル経営に対する理解促進にも役立てている
「公式サイトのサステナビリティページでは、ESGに関する情報を開示しています。これまで開示が弱かった部分は強化し、取り組み自体が少なかった領域は担当部門と連携を図り、社内の目線がESG経営に向くようになってきています。サイトでの発信を強化した結果、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用する全てのESG指数の構成銘柄にダイセルが選ばれるようになりました。こうした外部評価の変化はモチベーションにもなっています」。ダイセル執行役員 IR広報室長の廣川正彦氏はこう話す。
ESG投資に関する情報発信で、こうした成果が出るようになるまでには、どのような経緯があったのか。
ターゲットを絞り情報整理
ここで、廣川氏がIR広報室長に就任した2014年頃まで話は遡る。化学メーカーのダイセルでは、業界で自主的に実施する「レスポンシブル・ケア」(化学製品にまつわる「環境・健康・安全」を確保する取り組み)を重視し、レスポンシブル・ケア室を設置。当初は「環境報告書」を作成していた。
その後、コンプライアンスを推進する企業倫理室を設け、両部門を中心にIR広報も参加してCSR報告書を作成していたが、当時は、「苦労して報告書を作成しながら、誰にどれぐらい配布するか...