活況を呈しているユーザーコミュニティを考察すると、コミュニケーションの本質が見えてきます。ステークホルダーに適したアプローチを選び取るためのヒントを探ります。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)に関して、ビジネス・経済学・社会学の分野でどのような学術研究が進んでいるのか。2回に分けて紹介します。関連する学術論文のデータベースから調べたところ、大きく4つの研究テーマに分類できました。第1はUGCの創作と投稿を動機づける要因の解明です。第2はUGCが投稿されるプラットフォームにおけるコンテンツの視聴履歴やお気に入り登録数など成果指標の推移を追跡する研究。YouTubeの人気動画コンテンツの視聴回数の推移パターンを調査して人気の特性を探ろうとする研究です。
第3はインフルエンサーマーケティングとラベリングしてマーケティングコミュニケーション研究で歴史の長いクチコミ研究の流れです。そして第4は製品レビューや検索ランキングなどUGCのビッグデータから製品・サービスの開発に役立つ顧客ニーズを抽出しようとするアプローチであり、機械学習や自然言語処理による分析という近年進歩が目覚ましい手法に特徴が見られます。
なぜUGCを創作するのか
Facebookへコンテンツ(テキスト、写真、映像)を投稿するユーザーに対する質問紙調査と統計モデルの研究(Wang and Li:2014)では、UGCへの創作動機を促進する要因としてコンテンツの魅力と本人の知識能力のほか、オリジナルなUGCを創りたいとする自律的指向、自身の知識や能力を高めたいという能力指向が影響していました*1。