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真のD&Iへの道のり

障害者雇用における広報の役割とは(中)

山田雅穂(中央大学)

人材の多様性を活かし、誰もが力を発揮できる組織を実現する。そのためには、広報パーソンが、D&Iの議論に向き合い、理解を深めていくことが第一歩となります。

障害者雇用における広報の役割をCSRの観点から考える際に、方向性を示すのは組織の社会的責任に関する国際規格のISO26000(以下、本規格)です。まず今回は本規格に基づき、CSRにおける広報の役割とは何かを見ていきます。

社会的責任の組織への統合

本規格では社会的責任を「組織の決定及び活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、次のような透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」と定義しています。その行動とは❶持続可能な発展への寄与、❷ステークホルダーの期待への配慮、❸関連法令の順守と国際行動規範との整合、❹社会的責任の組織への統合と実践です。

この社会的責任を果たすための2つの基本的慣行が、①「組織による社会的責任の認識」(組織の決定及び活動が、様々なステークホルダーに及ぼす影響を認識すること)と②「ステークホルダーの特定及びステークホルダーエンゲージメント」(組織の決定に関する基本情報を提供する目的で、組織ステークホルダーとの間に対話の機会を作るための活動)です。

つまり企業が社会的責任を果たすには「組織の決定又は活動によって、プラスの影響又はマイナスの影響を受ける可能性があるのは誰か」を自答し、ステークホルダーとの対話により自社の課題を明確にすることが不可欠です。

「社会的責任の組織への統合」とは、社会的責任を組織の方針、組織文化、戦略及び業務に導入すること、社内に社会的責任の実践のためのシステムを構築すること、社会的責任に関する内外との...

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