活況を呈しているユーザーコミュニティを考察すると、コミュニケーションの本質が見えてきます。ステークホルダーに適したアプローチを選び取るためのヒントを探ります。
バーチャルYouTuber(VTuber)やバーチャルライバー(ライブ配信者)を含むバーチャルヒューマンは、ユーザー生成コンテンツ(UGC)として群生し、企業側もこれをマーケティング・コミュニケーションの担い手としてタレントと同じように起用する例が増えています*1。
*1 バーチャルYouTuberは、2D/3Dのアバターキャラクターを通じて自己を表現する人の総称であり、個人が参入容易なUGCだが、最近ではバーチャルタレントを育成するマネジメントオフィスも登場している。
企業が広報担当者をバーチャル化する例として、サントリーの社員VTuber「燦鳥ノム」、バーチャル社員「山鳥水生」やサンリオの「なつめれんげ」、さらには仮想空間(=メタバース)におけるセールスパーソンのバーチャル化も進んでいます。社員をリアルにメディアへ露出するよりも、個人情報流出やSNS炎上リスクが少ないメリットからです。
アバターと中身の関係
こうしたリアルからバーチャルヒューマンに移行する現象は大局的にどのように捉えればよいでしょうか。バーチャルYouTuberがリアルなYouTuberやライバーと区別されるのは、アバタービジュアルと中の人が別々に存在する点です。CGを使用した2D/3Dアバターを動かすのは中の人(魂とも呼ばれる)であり、人間がバーチャルな外見を表象として自己拡張するのです*2。社会心理学では...