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真のD&Iへの道のり

障害者雇用における広報の役割とは(上)

山田雅穂(中央大学)

人材の多様性を活かし、誰もが力を発揮できる組織を実現する。そのためには、広報パーソンが、D&Iの議論に向き合い、理解を深めていくことが第一歩となります。

前回はCSRを含めた経営倫理が、障害者も包摂する「真のD&I」の実現に不可欠であるとお話ししました。次のステップとして各企業で具体的に取り組む際に、大きな役割を果たすのが「広報」であると考えます。またその具体的な方向性を示すのが、前回もお話ししたあらゆる組織の社会的責任のガイドラインであるISO26000です。そのことを理解するためには、障害者雇用について「知らない」ことにいかに大きな壁があるのか、その実態をまず知っておく必要があるでしょう。

「知っているかどうか」の壁

女性やLGBTIの方々に比べて、障害者はD&Iの議論から取り残されがちだと前回お話ししましたが、皆さんは自社での障害者雇用について、どれくらいご存じでしょうか?例えば特例子会社*1を設けている企業の親会社で働く人が、自社で障害者を雇用していることも、特例子会社という存在自体も全く知らなかったという話を、これまで調査研究で多々耳にしてきました。自社で自分と同じように働いている障害のあるスタッフに会ったこともないケースが、まだ多くあるのです。

*1 特例子会社とは、障害への配慮を行う子会社で雇用する障害者を親会社の実雇用率に合算できる制度である。また特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社を含めたグループ全体を親会社に合算して実雇用率を算定できる「グループ適用」がある。特例子会社数は2021年6月1日現在で562社である。

一方で障害者雇用に尽力されている...

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