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真のD&Iへの道のり

日本の障害者雇用政策と国連の障害者権利条約

山田雅穂(中央大学)

人材の多様性を活かし、誰もが力を発揮できる組織を実現する。そのためには、広報パーソンが、D&Iの議論に向き合い、理解を深めていくことが第一歩となります。

今回は「ダイバーシティとしての障害を活かすとは」に焦点を当てていきます。まず念頭に置いていただきたいのは、「障害を持つ可能性は誰にでもある」ということです。障害の有無は本人の意思で選択できるものではありません。働いている途中で障害を持つなど、背景やニーズも多様です。よって障害を持つことは全ての人のテーマです。

日本の障害者雇用政策

日本の障害者雇用政策は「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下、障害者雇用促進法)に根拠を持つ障害者雇用率制度と障害者雇用納付金制度を基軸とします。前者は事業主にある一定比率以上の障害者の雇用義務を課すことで、障害者の雇用促進を図る制度です。現在の法定雇用率は、従業員数43.5人以上の民間企業は2.3%です。

後者は常用労働者101人以上の企業で法定雇用率未達成の場合、不足人1人につき月額5万円分の納付金を納めるものです。この納付金を財源に、雇用率達成企業に助成金等が支給されます。2021年6月1日現在の企業全体の障害者実雇用率は2.20%であり、法定雇用率達成企業の割合は47.0%と半数に達していません*1。改善の余地は依然として大きいのが実態です。

*1 厚生労働省(2021)「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000871748.pdf

働く上で必要な合理的配慮

先述の障害者雇用促進法では、全ての事業主に対し、障害者であることを理由とする差別の禁止と、障害者が働く上で必要とする「合理的配慮」の提供義務が明記されています。

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