報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
日経BP『日経トレンディ』DATA | |
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家電や投資、クレジットカード、スマホ料金比較など、消費者視点で生活がお得で便利になる情報を届けている『日経トレンディ』(日経BP)。9年ぶりに広告売上が前年比を上回るなど好調の波に乗る。
同編集部では、次の消費トレンドをつかむべく、編集部員は担当業界の企業の次なる動きを常に注視。毎年恒例の「ヒット商品」「ヒット予測」ランキングでは、食品、エンタメ、家電・デジタルなど幅広いジャンルの消費トレンドを発表。メイン読者層は30~50代の男性だが、メディア関係者やマーケターなど、ビジネス視点で業界内外からも高い注目を集めている。
書店の販売動向も重視
編集長の澤原昇氏は、各号のテーマ決めにあたり、重視するポイントとして、社会的なトレンドに加えて「書店の販売動向」を挙げる。「例えば、世間で話題を集めているFIREなどは、紙の雑誌で特集したところで書店で大きく売れるとは限りません」。つまり、世間の関心ごとと、書店に足を運ぶ日経トレンディの読者層の購買動機、この2つは必ずしも同じではないということを意識した上で、特集を企画する。「そのため、大手書店の出版社向けデータベースをよく見ています」。
社会的なトレンドと書店のトレンドの2つを掛け合せたのが、2022年3月号の相続特集だ。相続はこれまで同誌では扱ってこなかった“チャレンジング”なテーマ。しかし、相続・贈与関連の法改正という時事的な流れと、昨年経済誌をはじめ相続特集の売れ行きが良かった点が両方揃っていることから特集を企画するに至った。
後追いリリースがポイントに
リリース活用について澤原氏は、「リリースをひと目見て即『記事化しよう』とはなりません。ネットメディアが台頭し情報スピードが速い今の世界で、リリースされているものは別の誰かによってすでにメディアに載せられていることが多いからです」と語る。一方で、リリースの終盤に追加取材の案内の記載があれば、企画のフックになることも。リリース以上の情報を得ることができれば、オリジナリティの高い企画になる可能性があるからだ。
また、澤原氏はこうも付け加える。「ひと口に『新製品・新サービスが...