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メディア研究室訪問

番組制作はコミュニケーション 人との関係を学ぶゼミ

関西大学 社会学部 メディア専攻 里見 繁ゼミ

メディア研究などを行っている大学のゼミを訪問するこのコーナー。今回は関西大学の里見 繁ゼミです。

直近のゼミはすべてテレビ会議Zoomを使用し実施。

DATA
設立 2011年
学生数 3年生15人、4年生17人
OB/OGの主な就職先 日本放送協会(NHK)、北海道テレビ放送、福井放送、双葉社、NTTデータ、凸版印刷、放送映画製作所

関西大学社会学部のメディア専攻は「ひとりひとりに、『メディアマインド』を。」を理念に掲げる。講義以外にも実習を踏まえた学習を豊富に行い、マスメディアだけでなく広告、音楽から、インターネットやSNSまで、メディアを横断して読み解いたり、発信したりする方法を学べる。その広い視野でメディアを網羅できる特徴から、卒業生は一般企業の企画や広報などメディア業界に限らず活躍の場を広げている。

番組づくりのポイントを伝授

同学部でドキュメンタリー番組制作を主に行っている里見繁教授のゼミでは、1~3人程度で実際に企画・取材・撮影・編集を行い、1本の作品を1年かけて制作する。現在は新型コロナウイルス感染対策からゼミはZoomでの実施となっている。取材当日はチームごとに企画の進捗状況の報告や構成について相談が行われていた。

「甲子園」をテーマにしたドキュメンタリーを企画するチームには「ただ“甲子園とは”で終始するのでは作品として面白くない。例えばドラフトに選ばれそうな注目選手をピックアップし、主人公にするとストーリーがつくりやすい」とアドバイス。

「コロナ禍の就活」をテーマにしたチームには、Zoomインタビューだけの構成に指摘。「今徐々に対面面接も増えてきているはず。コロナ禍をアピールするためにオンライン面接ばかりを取り上げては“やらせ”のように感じてしまう。世の中の流れによって構成は変えていくべき」などと、番組づくりのポイントを伝えつつ的確にアドバイスがされていた。

見る側の視点で面白いか

ゼミの学生たちへ番組づくりにおいて大変だったことを聞いてみると、多くの学生が「見る人の目線に立って編集する難しさ」をあげた。「実際に取材している自分はその背景や予備知識があるため、初見の人でも分かりやすく、面白い内容にすることを見落としがちです。取材ではより深い部分の情報を聞き出し、アウトプットではその集めた素材を濃縮し、導入の説明からしっかりいれなくてはいけないと学びました」。

ゼミ室のメンバー。

番組制作は人間関係の教科書

番組制作を通じて「人間関係の形成」のコツを学んでほしいと里見教授。「大学の勉強だけでは頭でっかちになりがちだが、社会に出て重要なのはコミュニケーション力。いくら知識や技術があってもそこが欠如していると失敗する人も多いです。ドキュメンタリー制作は“人”との関係を学んでいく上で最適な教材だと思います」。

アポ取り、日程調整、取材、またディレクションの言語化などドキュメンタリー番組づくりを通し、コミュニケーションの基本を身に付けてもらいたいと話した。

学生たち自ら対象者にカメラを向ける。

世の中の疑問に対する追求の目 真実を届けるドキュメンタリー

元々毎日放送で30年以上にわたりテレビドキュメンタリー制作の現場にいた里見繁教授。ドキュメンタリストとしてとりわけ冤罪問題を多く取り上げてきた。

「現在のテレビは批判の目を持てていない。真実への追求が疎かになっているように思います。だからこそ、学生たちには情報の真偽を見極める目と、疑問を疑問で終わらせずにとことん探求する癖をつけてもらいたいと思います」と語った。

現在は映像制作からは離れているが、いまもジャーナリストとして、執筆や研究を精力的に行っている。

直近では「再審法改正」についてのプロジェクトを30人ほどの識者とともに発足させた。里見教授自身も世の中への疑問に対し、とことん追求する姿勢を体現している。

里見 繁 教授
1951年生まれ。民間放送の報道記者を経て、2010年から現職。映像01「出所した男」で芸術祭優秀賞。ほか民放連盟賞、ギャラクシー賞、日本ジャーナリスト会議賞、地方の時代賞ほか。著書『死刑冤罪』『冤罪・女たちのたたかい』(インパクト出版会)ほか。

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