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メディア研究室訪問

動画制作スキルを一から学ぶ プロに納品する責任を実感

専修大学 文学部 ジャーナリズム学科 福冨忠和 ゼミ

メディア研究などを行っている大学のゼミを訪問するこのコーナー。今回は専修大学の福冨忠和ゼミにお邪魔しました。

『地域いろいろバラエティー カワイロ』ではレポーターも学生が担当。

DATA
設立 2019年(旧学部のゼミ:2008~2018年)
学生数 2年生6人
OB/OGの主な就職先 ヤフー、サイバーエージェント、朝日放送、NHK、フジテレビ、静岡朝日テレビ、J:COM、テレビ神奈川、Youテレビ、バンダイナムコエンターテインメント、極東電視台、東急エージェンシー、電通クリエーティブX、マイナビ

専修大学 文学部 ジャーナリズム学科は2019年度に「人文・ジャーナリズム学科」を再編し、新設された。報道やメディア制作に関する研究だけでなく、1年次から実践的なフィールドワークが用意されており、3年次からは新聞社やテレビ局など現場でのインターンシップ、日本ペンクラブや新聞・出版各社などと連携した著名作家や記者による協力講座も開講する。

福冨忠和教授のゼミ室でも実践的な活動を行っている。教授の専門分野でもあるメディアコンテンツ分野の研究に加え、テレビ局と連携。プロからの発注を受け、テレビ番組を制作しているのだ。

現学部で教鞭をとるのは1年目だが、2008年に着任して以来受け持っていたネットワーク情報学部での活動を引き継いだ形だ。前学部では専修大学が2008年から協定を結ぶ神奈川県川崎市や茨城県行方市などの地元テレビ局、またジュピターテレコムなどとも連携し、学生による番組制作を中心にコンテンツ提供を行ってきた。

2015年以降は番組制作と並行してYouTubeでの番組配信も担っていた。「ネットワーク情報学部では1年次からプログラミングを習っており、ネットや動画制作ツールへのアレルギーがあまりなかった。しかし、文学部の学生はそのベースがない状態。ソフトの扱い方など基本を学ぶところからのスタートです」。

ローカルメディアとの連携

現在は川崎、横浜を中心とするケーブルテレビ局「Youテレビ」と連携し『地域いろいろバラエティーカワイロ』という番組を制作している。川崎駅北口のプリズムテレビスタジオで公開収録をしており、川崎市内のお店やスポットをレポーターとなったゼミ生が回り紹介する。そのほかにも茨城県行方市の「なめがたエリアテレビ」でも市の魅力を発信する番組を制作している。

2019年度は15~30分尺の動画を月1回のペースで計5本制作、放映した。「先方との打ち合わせ、企画やアポ取り、撮影、編集、納品まで学生たちが行います。もちろんアドバイスはしますが、なるべく口は出さないように心がけています。プロに納品するという責任ある状況下で自主的に行動できる力は、メディア業界はもちろん、社会でも活かされると思います」。

2019年度は茨城県行方市の「なめがたエリアテレビ」内で小学生向け映像教室『なめがた子ども放送局』を制作、放映。

学生の気づきが番組の企画に

実際にゼミに所属する3年生の岩崎叶汰さんは自身の気づきが番組の企画につながったと話す。「『カワイロ』内でエスニックタウンとして川崎のお店を紹介する企画を考えました。川崎市は僕の地元。小学生のころからクラスに外国人の友だちも多く、多様性のある町という認識があり、そこから企画を練っていきました」。

中国からの留学生でもあるリ・ジンウンさんは主に編集を担当している。「編集するときにカメラワークや音声が悪く使えないカットが出てきたりもする。制作チームとの連携が重要」と1年間の活動を振り返った。

「ゼミ生はメディア業界への興味が元々強い。しかし大学での学びが直接就職につながる例は少ないでしょう。知識としての業界理解はもちろん、実践で技術を身につけ経験を重ねることで、社会で即戦力になる若者を育てていければ」と福冨教授は語る。

2013年から2018年の前学部時は、東日本大震災復興番組『NEXT!2』を4局(かわさきワンセグ、いしのまきワンセグ、かわさきFM、ラジオ石巻)で同時放送。

放送局立ち上げにも参画多様化するメディアコンテンツを分析

福冨忠和教授はJICC出版局(現宝島社)での出版、広告をはじめとするメディア制作分野での活動を経て、現在はメディアコンテンツ論を専門に研究、教育を行っている。

「インターネットが普及し、現在では多くのメディアコンテンツが乱立しています。それぞれのコンテンツへの理解やメディアリテラシーを身につけることは非常に重要」と福冨教授。

宮城県石巻市に同一法人「石巻専修大学」を持つ同校。福冨教授は2011年の東日本大震災をきっかけに「いしのまきワンセグ」という放送局を立ち上げた。「2013年からは地元のラジオ局などを加え、4局同時で復興支援番組などを制作した実績があります。コンテンツを自分で一からつくりあげる楽しさや難しさを、これからも実践を通して伝えていきたいです」。

福冨忠和(ふくとみ・ただかず)教授
出版社勤務後、ジャーナリズム、広告、番組制作に携わる。国際大学、デジタルハリウッド大客員教授を経て、2008年専修大学ネットワーク情報学部教授、2019年に現職。『デジタルコンテンツ白書』(デジタルコンテンツ協会)編集委員長ほか、経済産業省、文部科学省、総務省、神奈川県、川崎市、茨城県行方市の各種委員を歴任。

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