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記者の行動原理を読む広報術

掲載面や見出しを分析して 新聞各社のスタンスを知る

松林 薫(ジャーナリスト)

広報担当の毎朝のルーティンである新聞の読み比べ。自社や業界内の露出をチェックするだけでなく、広報戦略に活かせる「新聞の読み方」を紹介する。

広報担当になると複数社の新聞を読むのが日課になる。読み比べはメディアリテラシーを身につけるうえで欠かせない基本動作だ。しかし、広報向けの研修などで聞いてみると、どこに注目して読めばいいのかは意外に知られていないようだ。今回は紙面から新聞社の価値観を探る方法について解説しよう。

各紙が注目する分野を探る

どの新聞にネタを売り込むのかを決めたり、発表内容に対する各社の反応の違いを予想したりするときは、その新聞社の「価値観」を理解しておく必要がある。その手がかりのひとつが、前回説明した記者の言動である。

一方、報道機関としての新聞社は組織として意思決定をしている。現場にいる記者の「個人としての考え」と「組織としての考え」が完全に一致するわけではない。そして、広報にとって最も重要なアウトプット(どのように報じられるか)には、少なからず後者が影響するのである。

保守系(右)か革新系(左)か、といった新聞ごとの政治的スタンスについては比較的よく知られている。しかし、広報活動で必要なのは、むしろ「銀行ネタと自動車ネタのどちらを重く見ているか」や「今はどの分野のネタを優先的に取り上げているか」といった個別具体的な情報だろう。これらを知るには「記事の扱い」を観察する必要がある。

実は、新聞記者も毎日ライバル紙を読み比べる中で、そうした「相場観」を身につける。「このネタは◯◯新聞は大きく扱うに違いない」とか、「他紙はこのネタを追うことにあまり熱心にならないだろう」といった判断をするためだ。

位置や見出しの大きさで分析

では、具体的にはどのように読めばいいのか。記者が日々の読み比べの際に注目しているのは、記事の❶掲載面と記事数 ❷面の中での配置 ❸縦見出しの段数──の3点だ …

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