メディアリレーションにおいては、各社のカラーを把握することも大切。経済記者と一口にいっても、企業規模や社風などで取材の仕方も変わる。元日経新聞の記者からみた、大手新聞社、テレビ局のカラーとは。
この季節、初めて広報担当になったという人も多いだろう。最初に戸惑うのは、新聞社やテレビ局などの記者との付き合いかもしれない。マスコミ関係者には「とっつきにくい人」が少なくないため、攻めあぐねてしまうのだ。ただ、「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」とも言う。所属する会社や部ごとに記者の特徴を把握して心の準備をしておけば、少しハードルが下がるのではないだろうか。
日経の記者は"会社員"に近い
もちろん、記者は十人十色で同じようなタイプばかりではない。しかし、社によって一定の傾向があることは間違いない。
例えば筆者が勤めていた日本経済新聞社は、読売新聞や朝日新聞といったライバル紙に比べ一般のビジネスパーソンに近い雰囲気の記者が多い。服装はスーツにネクタイが基本。ドラマに出てくるようなアウトロー風の記者は比較的少ない。
これには、記者の育成方法の違いが関係していると考えられる。地方紙も含め、ほとんどの新聞社では新人に警察を担当させる。いわゆる「サツ回り」だ。海千山千の刑事と関係を築き、秘密を聞き出す経験を積ませるのだ。大した苦労もせず生きてきた「秀才」たちに悲惨な事件や事故を取材させ、社会の矛盾や不条理を肌で感じさせる意味もあるのだろう。
記者が持つ独特の雰囲気や押しの強さは、この下積み時代に修羅場をくぐる中で身につくことが多い。ところが日経では、新人で警察担当(社会部)に配属されるのは同期のうち数人に過ぎない。大半の記者が、東京か大阪で企業担当としてキャリアをスタートさせるのだ。取材先も企業の社員や幹部が中心なので、当然雰囲気も一般のビジネスパーソンに似てくるのである。
日経と読売は体質が似ている
では、それ以外の社にはどんなカラーがあるのだろう。私がよく知る経済部に絞って述べてみたい。以下はあくまで印象論だが、業界でもだいたい同じ認識が共有されていると思う …