社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。


「電通大展inたづくり」のオープニングセレモニーでは、展示物である魚型バルーンロボットが空中を遊泳した。
情報・通信・ロボティクス・光などの情報理工学分野に強みを持ち、近年はIoT、ビッグデータやAIといった先進的な研究を進める電気通信大学(UEC)は2018年12月8日に創立100周年を迎える。2012年に記念事業実施委員会を設置し、100周年記念事業に関する活動を開始した。現在は総務部が事務局となる創立100周年記念事業推進室などを中心に記念事業が進められている。
100周年を機に掲げたスローガンは「ひらけ、INNOVATION!」。"ひらけ"という言葉には、「開く=新しい扉を開く」「拓く=開拓する」「啓く=知識を啓発する」といった意味が込められている。周年記念事業に携わる総務課参事役の加藤郁氏は「さらなる100年に向け、情報理工学の分野から新たなイノベーションの提案をし続けていきたい」と、これからのUECを語る。
イベントには1500人が来場
UECではこれまで、公開講座やオープンキャンパスなどを通じて地域との関わりを深めてきた。今回の100周年記念事業でも、大学や学生による企画はもちろん、本部を置いている地元の調布市や調布市商工会と連携したイベントに注力している。
メインイベントとなったのは、10月に調布市と連携し同市文化会館たづくりで行った体験型の展示会「電通大展inたづくり」だ。9つの研究室とUECコミュニケーションミュージアム(UEC学内に所在する博物館)が参加し、「来て!見て!体験して!」をコンセプトに研究内容などを紹介した。調布市に住む子どもから大人まで、幅広い層に楽しんでもらうことが目的のため、ロボットの操縦体験やモールス通信が体験できる装置などを展示した。
調布市による児童館や図書館、小学校へのイベントちらしの配布のほか、同じ会場で行われた調布市商工会のイベントでの告知効果などもあり、オープニングセレモニーと8日間の展示で約1500人が来場した。「大学に足を運ぶのは敷居が高いが、こういう場で大学の研究を体験できてとても楽しかった」といった声が寄せられた …