ローカルで人気のテレビ番組や地元情報をきめ細かく伝える新聞・雑誌の編集方針や人気の秘密、つくり手の考え方を紹介します。
『秋田魁新報』(秋田魁新報社) | |
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創刊 | 1874年2月 |
配布エリア | 秋田県全域 |
発行部数 | 約23万部 |
人気の連載・コーナー
連載企画「4割の扉 超高齢秋田を歩く」
秋田県の高齢化率は日本全国で最も高い約4割。「長生きできて幸せ」と誰もが感じられる社会をつくるための提言をまとめた。第6回「日本医学ジャーナリスト協会賞」の優秀賞を受賞。
「あの店・この逸品」
その店でしか食べることのできない逸品を求めて県内各地を探し歩き、店主の想いも交えて紹介する。
『秋田魁新報』(秋田魁新報社)の発行部数は約23万部。県内の世帯数に対する普及率は約54%と高く、秋田を代表する新聞だ。
一番の強みは新聞自体に地域のコミュニケーションツールの機能があるところ。県内外の主要ニュースはもちろん、小規模なイベントや子どものスポーツ大会など、全国紙には真似できないきめ細かなニュースを取り上げて地域を盛り上げている。1874年の創刊以来、140年以上にわたって秋田県民に親しまれてきた。
記者だけが知る情報を届ける
「新聞記者は、虫の目・鳥の目・庶民の目を持て」。秋田魁新報社制作センター長で政治経済部長の泉一志氏は、入社時に上司に言われたこの言葉を胸に20年以上にわたって記者を続けてきた。物事は「虫の目」で仔細に見ると同時に「鳥の目」で俯瞰的に見なければいけない。そして「庶民の目」、すなわち普通の人の感覚で考えることも忘れてはいけない。
「新聞記者には、この三つの目と、瞬発力・想像力・展開力が求められます。秋田魁新報の場合は、自分の足でつかんだニュースが、秋田県民にとってどんな影響があるかを想像してインパクトのある紙面展開を考えるのです」。
泉氏が2018年の目標として掲げるのは、「え?」「おっ!」「へぇー!」というリアクションが得られる紙面づくりだ。まず、「え?」という驚きを与える記事を掲載すること。続く「おっ!」は地方紙ならではの反応で、知人やなじみの場所が取り上げられていて「おっ!載っているな」という共感や親しみを醸成する。最後に、「へぇー!」はニュースのその背景まで深く掘り下げて伝える解説記事を充実させることだ。
「新聞は購読料をいただいています。だから一般人では知り得ない、新聞記者だからこそ取材できる情報をお届けしなければいけません。それが新聞として読者の負託に応えることだと思っています」。
2017年11月にスクープしたJA秋田おばこ(秋田県大仙市)の赤字隠しについての記事もそのひとつ。この記事は農林水産省幹部も取材に「不祥事は秋田魁新報の記事で把握していた」と打ち明けた …