日本全国で「自治体PR戦国時代」を迎えている現在。広報の基本と戦略に活かすヒントをこの分野の専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)パッと見て分かる簡潔さと読みやすさ
(2)課題解決までのストーリーや成果を盛り込む
(3)庁内連携による情報発掘の質を向上
第3回は、「メディアのチカラを活用するには?」というテーマでした。続く今回は、メディアへの情報提供ツールのひとつであるプレスリリース(報道資料)に関してです。作成のノウハウは関連書籍などをご覧いただければと思いますが、自治体PRを支援してきた経験を踏まえて、いくつかの大切にしたいポイントをご紹介します。
簡潔に、分かりやすく
自治体の業務では、様々な書類を作成するかと思いますが、プレスリリース作成にあたり留意すべき点は、「簡潔に」「分かりやすく」書くということです。概して行政の資料は一文が長いものがあります。一文の中に読点(「、」)が多く、伝えたい内容が3つも4つも詰め込まれたものも見られます。内容の繰り返しも多く、中には複数の意味に取れる場合もあります。このような書き方は、プレスリリースには適していません。
プレスリリースは簡潔な文章で書き、誰が読んでも理解できる内容であることが必須です。プレスリリースを読んでほしい相手、つまり記者や編集者は多忙です。メディアによっては、一日に数十、多いと数百通のプレスリリースが届くため、短時間(極端に言うと一瞬)で何が書かれているかを理解してもらわなければなりません。プレスリリースは、行政の資料とは別物と考えましょう。
読み手が最初に目にするタイトルを見ただけで、何について書かれているのか分かるようにする。第1パラグラフを読めば概略がつかめ、ニュースとしてのポイントが分かる。一文の中で伝えたい内容はひとつに絞るなど、簡潔で理解しやすい表現や内容で書くことが絶対条件です。また、専門知識がないと分からない用語は記者から質問される可能性がありますので、はじめから注釈をつけておくなどの工夫も必要です。
文章を簡潔にと書きましたが、タイトルや本文を読んでも、何がニュースか分からないほどに必要な要素を省いてしまっては意味がありません。タイトルに「◯◯◯のお知らせ」と事業名だけが書いてあり、本文に「◯◯市は、◯月◯日、◯◯◯をやります。詳細は以下の通りです」と明記してあり、「記」の後に、事業名や日時、場所、簡単な内容だけが箇条書きで列挙されているプレスリリースも見られます ...