複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
問題の経緯
2017年6月27日

シャープ製品公式Twitterアカウント(@SHARP_ProductS)は6月27日、任天堂の製品に対して値踏みするかのような内容を投稿。「誤解を招いた」として翌日には内容を一部訂正したが批判が相次ぎ、一連の投稿を削除し謝罪した。その後も批判が止まず、7月11日にアカウントを停止すると発表した。
消費者向けの製品を取り扱っている企業では、消費者との距離感を縮めるための手段として、Twitter、Facebook、LINEなどに公式アカウントを開設することが一般的になっています。
SNSを利用した情報発信やコミュニケーションは、SNSの公式アカウントを運用する社内の担当者(通称「中の人」)の裁量任せという特徴も持っています。担当者が、親しみやすい内容をつぶやく公式アカウントの運用に成功すればファンを急増させることができます。しかし、面白おかしい会話を繰り広げることに意識が偏り、企業の看板を背負っていることの意識が薄れてしまうと、思いがけず炎上を招くような内容を投稿してしまうリスクがあります。
今回取り上げる、シャープ製品公式Twitterアカウント(@SHARP_ProductS/フォロワー数:約4万9000)の炎上はそのリスクが顕在化してしまった事例です。ちなみにシャープの場合は、従前からこの製品公式アカウントとは別に会社公式アカウント(@SHARP_JP/フォロワー数:約41万)を運用しています。「シャープさん」などと呼ばれており、SNS運用例として高い評価を得ています。
投稿内容が「遊び心あふれる砕けた内容」として評価されるか、それとも「羽目を外しすぎている」と批判の対象になるかは紙一重です。これが、SNSの公式アカウントを運用する上で最も難しい問題といえるでしょう。また日ごろ活発に投稿しているアカウントが炎上した場合に、どのような内容・タイミングで訂正や謝罪に踏み切るかも難しいところです。
「企業の顔」が他社製品を値踏み
炎上は、製品公式アカウントによる6月27日の投稿によって起きました ...