日本全国で「自治体PR戦国時代」を迎えている現在。広報の基本と戦略に活かすヒントをこの分野の専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)マスメディアが狙っているターゲットも考える
(2)「広告」ではなく「広報」という認識を持つ
(3)ターゲットに合わせたメディアを選ぶ

枻出版社が運営する渋谷のカフェ「Shibuya City Lounge」にて、1カ月間のPRカフェイベント「肥前やきもの圏ミュージアム」を実施。店内装飾やメニューなどを企画し、ターゲットとコミュニケーションを図った。
1回目は「ターゲットを決めよう」、2回目は「PR上手になろう」とお伝えしてきましたが、連載3回目の今回は、その次のステップとして「メディアのチカラを活用しよう」という話をしたいと思います。
情報を発信する相手(ターゲット)を決めた後、広く伝えるにはマスメディアのチカラを借りることがとても有効。けれど、その際に知っておかなければいけないことや作法が多々あります。今回は、「若い女性をターゲットに観光情報を発信する」と仮定したうえでお話しします。
例えば、よくあるのが「日曜の朝の旅番組でウチの〇〇を見せてほしいんですよね」という話。皆さんも、上司がよく観ている番組だから説明しやすい……なんて思っていませんか?
ただ、日曜日の朝早い時間に起きている方を想像してみてください。その時間帯、たしかにテレビでは旅番組がよく放送されていますが、それらは早起きのシニア層へは広く伝わります。しかし、週末たっぷりお酒を飲んで楽しい夜を過ごした若者のつらい朝には、届きにくいかもしれませんよね。
逆もまた然りで、シニア層へ届けるべき情報を若い女性が読む雑誌で掲載したところで、その効果はあまり見込めないと思います(そもそも雑誌側が載せてくれませんが)。
つまり、自分たちが届けたい情報のターゲット(連載第1回参照)とマスメディアが狙っているターゲットのマッチングをしないといけません。まずはそこから考えましょう。
マスメディアは伝えるプロ
次に、伝える内容ですが、ポイントはあくまで「広告」ではなく「広報」ということです。広告はその枠を購入して、購入者が好きなことを伝えられる部分が強くありますが、広報は制作・編集の意図にのせて伝えます。
ここで、よく勘違いするケースが見受けられます。特に予算をつけて私たちのような外部のPR会社などを活用している方々の中でいらっしゃるのが「お金を払っているのだから、自分たちの言葉ですべて伝えられるはずだ」とドヤ顔で言われる方。
いえいえ、ちがいます。そのお金は広報の活動・調整・人件費として発生しています ...