過去1年間に企業から実際に発送されたダイレクトメール(DM)を全国から募り、優れた作品を表彰する「全日本DM大賞」。38回目を迎えた今年は、応募総数703点から27点が入賞した。応募されたDMは、「戦略性」「クリエイティブ」「実施効果」の3項目について各審査委員が5段階で評価。ここでは、特に高い評価を得た3作品を紹介する。
受注率は過去最高の32.2%、購入単価は2倍に伸長
既存顧客のリピート率促進に寄与した2つのDM
広告主:北海道産地直送センター
制作者:富士フイルムビジネスイノベーションジャパン、プラナクリエイティブ
北海道産地直送センターは、年3回以上購入の顧客へ向けた「購入履歴反映ビンゴDM」と、購入単価の低い顧客に向けた「ほたて型DM」を制作した。いずれもDMを入口にクロスセルを駆使し、既存顧客のリピート率を上げる施策。
「ビンゴDM」の主な目的は、既存顧客への購入回数と単価のアップ。主力窓口である対象顧客専属のコールセンタースタッフらの強化を図るため、顔写真入りの自筆メッセージを載せた感謝状と、対象顧客の2年分の購入履歴から導き出した商品を配置した「ビンゴカード」を同封。マス目に記載の商品を購入し1列揃うごとに同社商品がプレゼントされるルールで、最低でも年4回以上の購入促進を図った。紙面上でビンゴのルールを分かりやすく伝えられるかが課題だったが、スタッフの顔写真を掲載したことの相乗効果もあり、投函後すぐにゲーム参加と商品購入に意欲的な声が多数寄せられた。結果、同社の既存DMにおいて過去最高の受注率32.2%を記録。顧客との間にもより深いつながりができたという。
一方の「ほたて型DM」は、ECサイトで購入した顧客のリピート率が低いという課題に対し、人気のほたてとのセット商品を勧める案と、ほたて以外の別商品を単品で勧める案でABテストを行った。商品は過去の購買データに基づきランキング形式で紹介。表紙の「ほたて」だけでなく、カニやイクラ、コロッケなどの“推し”商品をチラ見せさせることで興味を喚起した。さらに、ECだけの割引特典を設け、Webに誘導。個別の二次元バーコードを掲載することでDMからECサイト流入時の行動パターンを解析できるようにした。DM+アウトコール+ECの相乗効果で前年最高時のレスポンス率が3.1%から5.6%へとアップし、顧客単価が2倍以上に。中でもECサイトにおけるほたてのリピート購入率は約66%に。あらかじめ顧客に印象に残るDMを届けることで、アウトバウンドのクロスセルが行いやすくなり、売上向上にも寄与した。
過去から得た知見で制作 シニアの機種変更率が大きくアップ
3G停波に伴い、行動喚起を図ったDM
広告主:ソフトバンク
制作者:TOPPAN
ソフトバンクは2024年1月末に迫る3G停波へ向け、3G携帯電話ユーザーに対して4Gまたは5G対応機種への変更を、数年にわたってDMで伝えていたが、なかなか進まないという課題があった。そこで今回のDMでは、返送する申込書の様式や記入方法など、過去のDM施策から得られた知見をもとに、細部の記載や紙質に至るまで配慮した。
主な3G携帯電話ユーザーであるシニア層からの反応は想像以上に良く、申込書の返送期限日時点では従来DMを超えるほどの申込書による加入となり、目標を大きく上回る結果となった。これまで動かすことが難しかったお客さまの行動喚起に寄与したという。
単価の高い住宅を、気軽に紹介できるDMで30件の注文獲得
紹介ハードルを下げた様々な工夫
広告主:泉北ホーム
制作者:500G
泉北ホームで家を建てた施主に対し、友人や知人へ同社の紹介を促すためにDMを実施。住宅は単価が高く、紹介する側にとってもされる側にとってもハードルが高いことから、紹介率を上げるために、手軽に渡せるカードを作成したり、紹介メリットを明記したりと、様々な工夫を行った。
その結果、紹介の心理的ハードルが下がって30件の新規注文の獲得につながり、非常に費用対効果の高い施策となった。
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