資生堂は昭和初期の1934年から、人を介した美容相談など顧客に寄り添った活動を行っている。長い歴史を持つ同社の美容部員は、それぞれの時代に合わせ、なりたい美のサポートをしてきた。
そして現在、デジタルを介し更に活躍の場を広げている。
新しい顧客接点の取り組みについて、資生堂インタラクティブビューティーの河原由香理氏に話を聞いた。
デジタルを通じたオンリーワンの体験提供
──資生堂インタラクティブビューティーについてお聞かせください。
資生堂インタラクティブビューティー(以下SIB)は、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」の一環である「デジタルを活用した事業モデルへの転換・組織構築」を加速するため、デジタルサービスと先端テクノロジーの領域で多くの支援実績を持つアクセンチュアとの合弁会社として2021年7月に設立されました。
私は資生堂で海外事業やEC事業の担当を経て、現在SIBにてデジタルに特化したパーソナルビューティーパートナー(以下PBP/一般名称は美容部員)のチームの戦略立案や運営、また、関連するサービスのDX化を進めています。
コロナ禍でコスメカウンターをはじめとする、お客さまとPBPとのリアルな接点の減少や、多様化する個々のニーズに対応し、「テイラーメイドなオンリーワン体験(一人ひとりのニーズにあった美容体験)」を実現するためにデジタルを通じてお客さまのお悩みや相談に対応できる仕組みとして「Digital Beauty Experience」の取り組みを推進しています。
企画から運営までメンバー内で完結
──「Digital Beauty Experience」ではどのような取り組みをされていますか。
「リアルとバーチャル融合の店舗」「3D肌診断とパーソナライゼーション」など、デジタルの力を活用した様々なサービスの開発を行っています。特にお客さまとの接点として注力しているのが、49人のデジタルに特化したPBPの取り組みです。メンバーごとにTwitterとInstagramのアカウントを所有し、情報発信やコミュニケーションの場として活用しています。また、チームとしてYouTubeやTikTokでの配信の他、ライブコマースやオンラインカウンセリング、オンラインセミナーについても企画から運営まで全てメンバー内で行っています。
デジタルに特化したPBPは、20代を中心に40代までの各年代にメンバーがいます。...