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相手を動かす6つの要点 研ぎ澄まされた提案書のつくり方

市川真樹(プレゼン資料コンサルタント)

企画を提案するという場面は社内外問わず多く発生する。提案書づくりのスキルが、自身の成果につながるといっても過言ではない。プレゼン資料作成のプロが、提案書の要点を説明する。

提案書をつくるとき、あなたは最初に何をしますか?

いきなりパワポを開くという方は、お気を付けください。これは、プレゼンが失敗する典型的なパターンです。なぜなら、パワポを開いた途端、ページごとのつくり込みに集中してしまい、プレゼンの目的や全体像を曖昧にしたまま、作業を進めてしまうからです。その結果、自分が主張したいことだけを連ねた、相手にとっては何の魅力もない資料ができ上がってしまいます。

プレゼンの目的は、自分が伝えたい情報を、相手に押し付けることではありません。自分のアイデアや商品・サービスなどを、相手が欲しい、必要だと感じる形で示し、その実現に向けて行動を起こしてもらうことにあります。その結果、あなたの提案は受け入れられ、未来も開けていくのです。

では、提案書を自分目線の一方的な伝達手段とせず、相手を動かすためのツールとするには、どうすればよいのでしょうか?答えは、資料作成の手順(図1)をきちんと踏んで、論理的に構成を組み立て、かつ適切なポイントで共感をつかんでいくことです。それでは、順を追って解説していきましょう。

図1 パワーポイントを開く前の資料作成の手順

筆者作成

①プレゼンのゴールを明確にする

まずはプレゼンのゴール、つまり今回の提案に対して、聞き手にどのような行動をとってもらいたいかを明確にします。例えば、初回30分の打ち合わせで、「自社の商品を発注してもらう」という高いゴールを掲げると、会社概要に始まり、商品の詳細説明、あげくは実物までをも持ち込むなどてんこ盛りの30分となってしまいます。

その結果、相手は多量の情報をさばききれずにウンザリし、次回にはつながらないという残念な結末を迎えます。初回30分であれば、相手の関心を引き、次回の打ち合わせを取り付けることをゴールとすべきなのです。最終的なゴールを達成するために、その途中のゴールをいかに戦略的に刻んでいくか。ここでプレゼンの成否が左右されるといっても、過言ではありません。

②聞き手を分析する

次に、聞き手の分析に移ります。この時に使う切り口は「反応」「認識」「関心」です。「反応」は、聞き手がその提案について、賛成/反対/中立のどの立場にいるかを推測することです。特に、反対を唱えそうな相手に対しては、懸念を払拭する情報を補足したり、万全のサポート体制を謳うなどしたりして、安心材料を提供するような配慮が必要となります。

次に、「認識」について。これは、相手が知っていること/知らないことを洗い出す作業です。ここが不十分だと、社内用語やルールを相手も知っているという前提で話を進めてしまったり、逆に相手が知っていることをクドクドと説明して苛立たれてしまったりします。相手が理解できないどころか、気分を害されることのないよう、想像の範囲内でもよいので、自分の中で整理をしておきましょう。また、相手の知らないことは質問される可能性が高いので、答えられないという事態を防ぐためにも、この作業は重要となります。

最後に「関心」です。相手に行動を起こしてもらうためには、相手が「欲しい、必要だ!」と感じる切り口で、プレゼンの構成を組み立てていく必要があります。そのためにも、相手の「関心」がどこにあるのか、例えば、業績への貢献にあるのか、競合との差別化、または顧客満足にあるのかなどを探ります。

相手の現状を検証できるデータが入手可能であれば、そこで炙り出された課題は、根拠ある関心事項となります。その解決策として、商品・サービスを提案できれば、プレゼンの成功率は飛躍的に高まります。

しかし、相手が新規のお客さまなどで、課題を深掘りする十分なデータが入手できないのであれば、相手の置かれている状況に思いを巡らせ、「関心」を想定していきます。その際は、会社のホームページをチェックし、社長メッセージやプレスリリース、中期経営計画、決算短信や決算説明会などのIR資料を調べると、「関心」の糸口が見えてきます。

③構成を論理的に組み立てる

それでは、いよいよ...

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