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SPORTS TEAMに学ぶ集客術

「希少性」を打ち出して興味・関心を喚起 サンウルブズの取り組みとは

2016年、ラグビーの国際リーグ「スーパーラグビー」に参入したヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ。同年2月に「秩父宮ラグビー場」(東京・港)で開催した、参入後初のホームゲームのチケットは前売りの販売予定枚数に達した(当日販売なし)。同シーズンの国内戦平均観客数は1万7000人を上回る成功を収め、今シーズンも平均1万4000人近いファンが秩父宮ラグビー場へ足を運んだ。今月はサンウルブズの集客施策について紹介する。

2016年2月27日に秩父宮ラグビー場で開催した、「スーパーラグビー」の2016シーズン開幕戦では1万9814人の観客を集めた
(C)JSRA photo by H.Nagaoka

サンウルブズが参加する「スーパーラグビー」とは

ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ(サンウルブズ)は、2016年2月27日に秩父宮ラグビー場で開催した、「スーパーラグビー」の2016シーズン開幕戦で1万9814人の観客を集めた。チケットは前売りの販売予定枚数に達したという。

「スーパーラグビー」は、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカに、アルゼンチンと日本を加えた5カ国18チームが戦う国際リーグ戦。日本は2016年に参入した。地域代表クラブとはいえ参加するニュージーランド、豪、南アは世界3強国。サッカーで言えば、各国リーグを勝ち抜いた名門クラブが覇を競う「チャンピオンズリーグ」、野球なら「ワールド・ベースボール・クラシック」といった感がある。

参入初年度の秩父宮ラグビー場での平均観客数は1万7246人で、2017シーズンも引き続き1万人超の観客が会場へ足を運ぶ。サンウルブズは招待券をスポンサー向けの一部しか発行しておらず、来場者の9割近くは有料入場者だ。

日本国内のラグビーリーグ最高位にあたるのは「ジャパンラグビートップリーグ」で、歴代最多総入場者数を記録した2015年~2016年シーズンの秩父宮開催試合に限った平均観客数は8133人。開催条件が異なるため単純な比較はできないが、サンウルブズが注目され、多くの観客を集めていることがわかる。

「トップリーグ」は、いわゆる会社登録チームが争う「社会人ラグビーリーグ」で、選手は基本的に登録企業の従業員だ。一方、「サンウルブズ」は、一企業のチームではない。ヒト・コミュニケーションズはスポンサー企業で、「読売ジャイアンツ」にとっての読売新聞社のような親会社ではない。

つまり、サンウルブズは社会人チームのトップ選手が集う、選抜チームなのだ。ふだんはひいきのチームで応援合戦を繰り広げるラグビーファンの視線を一挙に集めることになる。

好調に推移する集客の背景について、サンウルブズ運営のジャパンエスアール・ビジネスマネジメント部の室口裕ジェネラルマネージャーはこう話す。「サンウルブズを結成して、スーパーラグビーに参入した狙いのひとつは、2019年のワールドカップ(W杯)日本大会へ向けた日本代表チームの強化。スーパーラグビーは、W杯開催へ向け、選手が日本代表の主力として成長する道のりでもあります。その過程を見られるという期待感も、応援のモチベーションにつながっているのではないでしょうか」

追い風になっている、2015年ラグビーW杯での日本代表チームの活躍ももちろん見逃せない。とくに五郎丸歩選手(ヤマハ発動機ジュビロ)が人気を集め、多くの企業が広告キャラクターに起用したことは記憶に新しい。

試合数の少なさを逆手に取り 希少性をアピール

ただ、ブームの後押しは結果でしかない。スーパーラグビーへの参入は、2015年W杯以前に決まっており、準備も進めていた。

「当時、トップリーグも、日本代表戦も、多くて1万人くらいの観客数でした。スーパーラグビーは世界最高峰のリーグです。参入するからには、秩父宮ラグビー場を満員にしなければ、という使命感はあります。一方で現実的な視点もふまえて、1試合あたり1万2000人位は集めたいと考えていました」(室口氏)

スーパーラグビーの特徴は、エンターテインメント性を意識している点だ。試合時間は前後半80分だが、過去にはグラウンドの芝を薄めに刈ることでボールのバウンドをよくし、展開を早める工夫をするチームも。もちろん代表クラスの選手の対戦も魅力のひとつだ ...

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